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馬の病気:繋骨瘤

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繋骨瘤(“Ringbone”)について。

繋部の変性関節疾患(Degenerative joint disease: DJD)に起因して外骨症(Exostosis)を生じる病態で、五歳以上の馬に好発し、後肢よりも前肢に多く見られます。DJDが近位指骨間関節(Proximal interpharangeal joint)(=冠関節)に起こった場合を高繋骨瘤(High ringbone)と呼び、DJDが遠位指骨間関節(Distal interpharangeal joint)(=蹄関節)に起こった場合を低繋骨瘤(Low ringbone)と呼びます。繋骨瘤では、骨棘(Osteophyte)が関節から離れた位置に生じる事もありますが、関節腔から完全に独立した病態は稀であるため、関節性・非関節性繋骨瘤(Articular/non-articular ringbone)という分類は適当でないという提唱がなされています。繋骨瘤の病因(Etiology)としては、骨軟骨症(Osteochondrosis)、肢勢異常(Abnormal conformation)、遺伝的素因(Genetic predisposition)に関係する直立繋姿勢(Upright pastern)、外傷による腱・靭帯・関節包付着部の裂傷(Tears of tendon/ligament/joint-capsule attachments)とそれに続発する骨増殖体形成(Enthesiophyte formation)などが挙げられています。また、低繋骨瘤は、蹄骨の伸筋突起(Extensor process)の裂離骨折(Avulsion fracture)に起因する場合もあります。

繋骨瘤の症状としては、軽度~中程度の跛行(Mild to moderate lameness)、触診による熱感(Heat)、圧痛(Pain on palpation)、関節膨満(Joint effusion)などが見られます。診断麻酔(Diagnostic anesthesia)では、掌側指神経麻酔(Palmar digital nerve block)によって跛行の部分的改善(Partial improvement)が見られ、繋周回麻酔(Pastern ring block)によって跛行がほぼ消失します。初期病態では、レントゲン的異常所見(Radiographic abnormal findings)は認められない場合もあり、数週間後の再検査を要することもあります。代表的なレントゲン所見としては、関節腔の狭窄または圧潰(Joint space narrowing/collapse)、骨棘形成、軟骨下骨硬化症(Subchondral bone sclerosis)、関節周囲骨増殖(Periarticular bony proliferation)、関節面変形(Joint surface deformity)などが挙げられています。また、超音波検査(Ultrasonography)を用いて、周囲軟部組織の損傷度合いを確かめます。

繋骨瘤の急性期における治療としては、10~14日間の馬房休養(Stall rest)と非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)の投与が推奨されています。また、冷水療法(Cold hydrotherapy)、DMSO塗布剤、ポリ硫酸化グリコサミノグリカン(Polysulfated glycosminoglycan: PSGAG)の筋肉内投与、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)の静脈内投与なども用いられます。高繋骨瘤の外科的治療としては、近位指骨間関節固定術(Proximal interpharangeal joint arthrodesis)によって関節の不動化が施されます。関節固定術の手法としては、2本の大径螺子(5.5-mm screws)、3本の中径螺子(4.5-mm screws)、プレート固定、プレート固定と螺子固定の併用などが報告されています。また、関節軟骨掻爬(Articular cartilage curretage)によって、堅固な関節面同士の融合が起こることが示唆されています。そして、術後には、遠位肢ギプス(Distal limb cast)を、3~8週間装着することが推奨されています。低繋骨瘤の外科的治療としては、裂離骨折片の螺子固定術(Lag screw fixation)、または、関節鏡手術(Arthrocsopy)による骨折片除去が有効です。

繋骨瘤の罹患馬において、関節不動化が奏功した症例では一般に予後は良好ですが、前肢よりも後肢の繋骨瘤において、競走および競技への復帰率が高いことが報告されています。

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