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馬の病気:膝蓋骨骨折

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膝蓋骨骨折(Patella fracture)について。

膝蓋骨は四頭筋合同装置(Quadriceps apparatus)の一部を成すことで、膝関節(Stifle joint)の伸展機能(Extension function)を担っており、近位部では外側&中間&内側広筋(Vastus lateralis, intermedius, and medialis)が付着し、遠位部では外側&中間&内側膝蓋靭帯(Lateral, middle, and medial patellar ligaments)が付着し、また、頭側面は繊維性帯膜(Fibrous fascia)に覆われています。膝蓋骨の骨折は主に外傷性に発生し、膝関節部を蹴られたり、固定障害物にぶつけることで起こる場合が一般的です。

膝蓋骨骨折の症状としては、病態によって軽度~重度の跛行(Mild to severe lameness)と大腿膝蓋関節の膨満(Femoropatellar joint effusion)を呈し、患部の重篤な腫脹(Marked swelling)を示した症例では、休養と抗炎症剤投与によって腫脹減退を待ってから、骨折部の触診を試みることが推奨されています(膝蓋骨は体重負重機能を有せず、緊急治療を要することは少ないため)。膝蓋骨前面の繊維性帯膜が損傷していない場合には、骨折片の隙間は触知されず、内固定や骨折片除去も必要でないことが示唆されています。

膝蓋骨骨折の確定診断は、レントゲン検査によって下されますが、膝関節屈曲位でのスカイライン撮影像によってのみ骨折判定が可能である症例もあります。膝蓋骨の骨折では、破片骨折(Chip fracture)(特に内側皮質骨面において)、矢状骨折(Sagittal fracture)、横骨折(Transverse fracture)、粉砕骨折(Comminuted fracture)などの病態の発生が報告されています。また、慎重なレントゲン所見の判読によって、大腿骨の滑車骨折(Trochlear fracture)や骨端骨折(Physeal fracture)などの併発を慎重に除外診断することが重要です。膝蓋骨骨折が認められた症例では、正確な予後判定のため、超音波検査(Ultrasonography)による、膝蓋靭帯損傷や側副靭帯断裂(Collateral ligament repture)などを診断することが重要です。

膝蓋骨骨折の治療としては、骨折片の変位(Fragment displacement)が僅かである症例では、数ヶ月にわたる馬房休養(Stall rest)による保存性療法(Conservative therapy)による骨治癒が期待できることが示されており、継続的なレントゲン検査によって治癒過程のモニタリングが行われます。この際には、矢状骨折の症例では繊維性癒合(Fibrous union)によってレントゲン上の骨折線が残存することが多いため、関節膨満や屈曲疼痛などの臨床症状が有用な骨折治癒の指標となることが示唆されています。しかし、横骨折や粉砕骨折の症例では骨癒合(Bony union)による治癒が起こることが多いため、レントゲン所見が治癒過程の有用な予後判定指標(Prognostic indicator)となることが知られています。また、保存性療法の期間中には、膝関節の変性関節疾患(Degenerative joint disease)(いわゆる“Gonitis”)の予防のため、コルチコステロイドやヒアルロン酸の関節注射(Joint injection)が併用される事もあります。

一方、膝蓋骨前面の触診によって骨折腔が触知されたり、レントゲン上で骨折線の幅が5mm以上であったり、関節面の不均衡(Poor joint surface alignment)が認められた症例においては、外科的療法の実施が推奨されています。膝蓋骨の矢状骨折や横骨折の症例では、関節切開術(Arthrotomy)を介しての螺子固定術(Lag screw fixation)による骨折整復が行われ、頭側面へのワイヤー装着によってテンション・バンド原理(Tension-band principle)を作用させる手法が併用される場合もあります。この際には、術中レントゲン検査(Intra-operative radiography)や関節鏡手術(Arthroscopy)を介して、関節面の平坦化(Joint surface realignment)の確認と、細かい骨折片の除去(Fracture fragment removal)を行うことが大切です。膝蓋骨の破片骨折の症例において、骨折片のサイズが小さく螺子固定術の実施が困難である場合には、膝蓋骨部分切除術(Partial patellectomy)による骨折片の除去が行われ、最大で膝蓋骨の三分の一を切除しても、良好な予後が期待できることが報告されています。しかし、内側骨面の骨折片除去に際して、内側膝蓋靭帯(Medial patellar ligament)や内側大腿膝蓋靭帯(Medial femoropatellar ligament)を著しく傷付けてしまうと、術後に膝蓋骨の外方脱臼(Lateral patellar luxation)の合併症を起こす危険があるため、慎重に破片骨折片周囲の軟部組織切開(Soft tissue dissection)を行うことが重要です。

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