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馬の病気:手根骨盤状骨折

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手根骨の盤状骨折(Carpal slab fracture)について。

手根骨の盤状骨折は第三手根骨(Third carpal bone)に最も多く見られ、その形状に応じて、タイプ5:橈側関節面における前面盤状骨折(Frontal slab fracture of radial facet)、タイプ6:橈側および中間関節面の両方にまたがる前面盤状骨折(Frontal slab fracture of radial and intermediate facets)、タイプ7:中間関節面における前面盤状骨折(Frontal slab fracture of intermediate facet)、タイプ8:橈側または中間関節面における矢状盤状骨折(Sagittal slab fracture of radial or intermediate facets)、などに分類されます。手根骨盤状骨折の病因としては、手根関節の過剰伸展(Hyperextension)が挙げられていますが、ストレス対応性の骨組織修復(Stress-adaptive bone remodeling)による、一過性の骨強度低下(Transient reduction of bone strength)も発症素因(Predisposing factors)であると考えられています。

手根骨の盤状骨折の症状としては、軽度~重度の跛行(Mild to severe lameness)と関節膨満(Joint effusion)を呈します。骨折片の変位とサイズを判定するため、スカイライン撮影法を用いてのレントゲン検査が重要となり、またCTスキャンを用いることで、矢状骨折腺の正確な走行と、複数の骨折片の立体的配置を確認できる事が報告されています。手根骨の盤状骨折に対する保存的療法(Conservative treatment)では、骨折片変位の有無に関わらず、変性関節疾患(Degenerative joint disease)を併発する可能性が高いため、外科的な骨折片除去(Fragment removal)もしくは螺子固定術(Lag-screw fixation)が推奨されています。

第三手根骨の橈側関節面もしくは中間関節面のどちらか一方だけに生じた盤状骨折(タイプ5およびタイプ7)では、一本の骨螺子による整復が行われ、橈側関節面と中間関節面の両方にまたがる場合(タイプ6)では、二本の骨螺子による整復が行われます。螺子固定術に併行して、関節鏡手術(Arthroscopy)を実施する事によって、螺子挿入角度の目印となる針穿刺を正確に行うことが大切で、また関節鏡手術を介して、細かい骨折片の摘出、骨折部清掃(Fracture site debridement)、関節面の平坦化(Joint surface realignment)を確認することも重要です。骨折発症の際に、関節面の窪み(Trough)が生じた場合には、骨ノミ(Bone chiesl)を用いて骨端4mmの切除が施される事もあります。また、盤状骨折片の厚さが10mm以下であったり、重篤な関節軟骨損傷(Significant articular cartilage loss)を併発した場合には、関節切開術(Arthrotomy)を介しての骨折片の完全除去(Complete removal of slab fragment)が選択される場合もあります。矢状盤状骨折の症例においても、骨折片のサイズに応じて外科的除去もしくは螺子固定術が施されますが、前面盤状骨折に比較して、螺子挿入角度が手技的に難しい場合が多くなります。第三手根骨の盤状骨折の予後は良好~中程度で、六~八割の症例において競技および競走への復帰が可能ですが、発走当たりの収入は減少(Reduced earnings per start)したことが報告されています。

第三手根骨以外の手根骨郡(橈側、中間、尺側、第二、第四手根骨:Radial, Intermediate, Ulnar, Fourth, or Second carpal bone)に、盤状骨折が起こることは稀ですが、この五つの骨の中では、橈側手根骨における盤状骨折が最も多く見られます。橈側手根骨の前面盤状骨折では、一本の螺子による外科的整復が行われます。中間手根骨と第四手根骨に生じた盤状骨折は外科的に摘出されたという症例報告がありますが、予後は一般的に不良です。

手根骨に粉砕骨折(Comminuted fracture)が生じた場合には、多くの症例において、関節圧潰(Joint collapse)を併発することから、不負重性跛行(Non-weight-bearing lameness)を示し、予後は極めて悪いことが報告されています。救済療法(Salvage therapy)としては、第三手根骨の粉砕骨折を発症した場合には、中間手根関節(Mid-carpal joint)と手根中手関節(Carpo-metacarpal joint)を外科的に固定し、前腕手根関節(Antebrachial-carpal joint)の可動性を維持するという、亜手根関節固定術(Subtotal Carpal arthrodesis)が実施される場合もあります。しかし、近位手根骨郡(橈側、中間、尺側手根骨)の粉砕骨折や、複数の手根骨が粉砕骨折した症例においては、安楽死(Euthanasia)となる症例が殆どですが、繁殖馬として飼養される場合などにおいて救済療法の実施が選択された場合には、三つの手根関節の全てを固定するという、汎手根関節固定術(Pancarpal arthrodesis)が試みられることもあります。

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