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馬の病気:種子骨骨折

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種子骨骨折(Sesamoid bone fracture)について。

近位種子骨(Proximal sesamoid bone)(=第1指骨種子骨:Proximal phalanx sesamoid bone)は、解剖学的には繋靭帯合同装置(Suspensory apparatus)の一部をなし、近位部では脚部繋靭帯(Susupensory ligament branch)に結合し、遠位部では四種類の種子骨遠位靭帯(Distal sesamoidean ligaments)(斜位・直鎖・短・十字遠位種子骨靭帯)に結合することで、球節沈下(Sinking of fetlock joint)を防ぐ役目を担っています。種子骨骨折は競走馬に多く見られ、レース後半の筋疲労(Muscle fatigue)による球節の過伸展(Hyperextension)に起因して発症すると考えられています。また、調教による繋靭帯強靭化(Strengthened suspensory ligaments)に伴う種子骨の相対的な弱体化や、継続的な過負重の結果おこる骨組織修復(Bone remodeling)によって、一過性に種子骨の骨強度が低下する事なども発症素因(Predisposing factors)として挙げられています。

種子骨の尖端骨折(Apical fracture)は、繋靭帯の過剰張力(Excessive tensile force)によって起こり、中程度~重度の跛行(Moderate to severe lameness)を示し、殆どの場合で関節性骨折(Articular fracture)の病態を呈します。確定診断はレントゲン検査で下されますが、慢性症例では診断神経麻酔(Diagnostic nerve block)によって、疼痛との因果関係を証明することが重要です。また、正確な予後判定のために、術前の超音波検査(Pre-operative ultrasonography)によって、繋靭帯炎(Suspensory ligament desmitis)の発症を確認することが大切です。治療としては、関節鏡手術(Arthroscopy)による骨折片の除去が行われますが、骨折片が大きい場合には関節切開術(Arthrotomy)を要する事もあります。種子骨の尖端骨折の予後は一般的に良好で、九割前後の症例が競技および競走に復帰できる事が報告されています。

種子骨の遠軸性骨折(Abaxial fracture)は、繋靭帯の過剰張力に起因し、掌側内外側縁(Medial/Lateral palmar edges)に発症します。この場合には、骨折が関節性の場合や繋靭帯炎を併発している場合にのみ、骨折片の外科的除去が推奨されているため、関節膨満(Joint effusion)の触知や、スカイライン撮影法によるレントゲン検査、超音波検査などによって、外科的療法の必要性を判断することが大切です。種子骨の遠軸性骨折の予後は良好で、七割前後の症例が競技および競走に復帰できる事が報告されています

種子骨の中央部横骨折(Midbody transverse fracture)は、重度の跛行(Severe lameness)を呈し、球節掌側部の腫脹(Swelling on palmar aspect of fetlock)が見られます。治療としては、内固定法(Internal fixation)による骨折片の整復が必要で、螺子固定術(Lag-screw fixation)もしくは外周ワイヤー固定術(Circumferential wiring)の術式が用いられています。骨折部への海綿骨移植(Cancellous bone graft)も併用され、術後は遠位肢ギプス(Distal limb cast)の装着が行われます。種子骨の中央部横骨折の予後は中程度で、五~六割の症例が内固定後に、競技および競走に復帰できる事が報告されています。

種子骨の底部骨折(Basilar fracture)は、中程度~重度の跛行を示し、一般に関節性骨折の病態を呈します。治療としては、関節鏡手術もしくは関節切開術による骨折片除去が行われ、五~六割の症例が競技および競走に復帰できる事が報告されています。

種子骨の軸性骨折(Axial fracture)は、種子骨間靭帯(Intersesamoidean ligament)の過張力によって起こり、多くの場合、第三中手骨(Third metacarpal bone)の顆状突起骨折(Condylar fracture)に併発することが報告されています。骨折片除去や外科的整復は手技的に困難で、周囲軟部組織の損傷によって競技および競走への復帰は困難であるため、外科的療法が試みられる症例は稀です。

種子骨の粉砕骨折(Comminuted fracture)もしくは両軸性骨折(Biaxial fracture)では、球節脱臼(Fetlock luxation)を起こし、不負重性跛行(Non-weight-bearing lameness)を呈します。治療においては、骨折の外科的整復は困難であるため、ギプス固定による保存的療法が行われますが、延命処置として球節固定術(Fetlock arthrodesis)が試みられる場合もあります。いずれの場合においても、経過が長引くことが多く、対側肢の負重性蹄葉炎(Support laminitis)の合併症を引き起こす危険が高いため、砂馬房への変更や蹄叉パッドの装着などの予防処置が講じられます。

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