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馬の病気:第三中手骨骨折

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第三中手骨骨折(Third metacarpal bone fracture)について。

第三中手骨もしくは第三中足骨(=管骨)の顆状突起骨折(Condylar fracture)は、サラブレッド競走馬に多く見られ、重度の跛行(Severe lameness)、球節周囲腫脹(Fetlock peri-articular swelling)、球節の関節膨満(Fetlock joint effusion)等の症状を示します。外側顆状突起(Lateral condylae)の骨折は前肢に多く発症し、骨折腺が外側皮質(Lateral cortex)へと抜ける場合が殆どで、完全骨折(Complete fracture)を起こした場合には骨折片変位(Fracture fragment displacement)が見られます。多くの症例において、先在性疾患(Pre-existing disease)として、顆状突起の退行性病態や骨硬化症が見られる事が報告されています。レントゲン検査では、完全および不完全骨折の識別と併行して、関節面の掌側断片化(Palmar fragmentation)や近位種子骨(Proximal sesamoid bone)の軸性骨折(Axial fracture)の併発を確認します。完全骨折の症例では、螺子固定術(Lag-screw fixation)とギプス装着による骨折整復が行われ、関節鏡手術(Arthroscopy)を用いることで、関節面平坦化(Joint surface realignment)の確認と断片化した骨折片の除去が施されます。不完全骨折の症例では、馬房休養(Stall rest)による保存的療法(Conservative treatment)による治癒も期待できますが、完全骨折へと悪化する可能性を考慮して、螺子固定術の実施が推奨されています(特に骨折腺が骨幹へ達している場合)。近位種子骨の軸性骨折を併発した症例では、競技および競走への復帰は困難であるため、球節固定術(Fetlock arthrodesis)による関節不動化が行われる場合もあります。

管骨の内側顆状突起(Medial condylae)の骨折は後肢に好発し、また、麻酔覚醒時(Anesthesia recovery)の事故として発症しやすいことが知られています。外側顆状突起の骨折とは異なり、骨折腺が骨幹へと走行して、不完全骨折(Incomplete fracture)を呈する症例が多いことが報告されており、骨折面が捻転しながら近位方へ進行することが多いため、術前のレントゲン検査によって、出来るだけ正確に骨折線の走行と長さを確かめることが重要です。外科的整復としては、顆状突起部における螺子固定術と、骨幹部におけるプレート固定術が併用され、手根関節または足根関節の上部に達する全肢ギプス(Full-limb cast)を施すことが推奨されています。麻酔覚醒時の危険を考慮して、起立位手術(Standing surgery)による最小侵襲性整復法(Minimally invasive repair)の実施も試みられており、管骨近位部から皮下織トンネルを通して挿入したプレートを、穿刺術創(Stab incision)を介して骨螺子によって管骨に固定していく手法が用いられています。

管骨の骨幹骨折(Diaphyseal fracture)は、幼馬に多く見られ、視診による不負重性跛行(Non-weight-bearing lameness)と、触診による骨幹不安定化(Diaphyseal instability)が認められます。横骨折(Transverse fracture)または短斜骨折(Short oblique fracture)の形状を示し、容易に開放骨折(Open fracture)を引き起こすため、発症後は速やかに副木とロバートジョーンズ包帯を用いた患肢の不動化(Immobilization)を行います。その後、レントゲン検査によって、骨折片の立体的配置(Fracture configuration)と球節および手根中手根関節面(Fetlock/Carpometacarpal joint surface)の形状を確認します。外科的療法としては、プレート固定とギプス装着による骨折整復が行われます。第三中手骨の張力面(Tension surface)は背外側骨面(Dorso-lateral bone surface)であるため、一般に背側と外側の二枚のプレートが装着され、二枚のプレートの近位端および遠位端が同じ位置にならないようにプレートの長さを調節します。幼馬の症例において、管骨のサイズが小さい場合には、背外側皮質骨面での一枚のプレートで骨折整復が行われる場合もあります。開放性骨折では、抗生物質含有の骨セメント(Antibiotic-impregnated bone cement)を用いてのプレート接着(Plate luting)が有効です。重度の骨折片断片化で外科的整復が困難な症例では、外固定のみでの治療が試みられ、幾つかの外固定手法が応用されています(Transfixation-pin cast, Nunamaker external fixator, etc)。

管骨の遠位骨端骨折(Distal physeal fracture)は幼馬に好発し、多くの症例においてSalter-Harris Type-2の形状を呈します。新生児(六ヶ月齢以下)の症例においては、ギプス固定療法による治癒が期待できますが、それより高齢な幼馬の症例や、管骨の著しい不安定性(Marked instability)が見られた場合には、骨幹端部(Metaphyseal component)を介しての螺子固定術による外科的整復が推奨されています。

管骨の近位縦軸骨折(Proximal longitudinal fracture)では、骨折腺は手根中手根関節から管骨長軸に沿って走行します。通常、不完全骨折の形態を呈し、顕著な患部の熱感や腫脹は見られません。重度跛行は一過性に数日で減退するため、レントゲン検査に併行して、診断的神経麻酔(Diagnostic anesthesia)や核医学検査(Nuclear scintigraphy)による診断が必要となる場合もあります。一般的に、馬房休養による保存的療法が選択されますが、骨折片変位を続発した症例では、螺子固定術やプレート固定術が必要となります。

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