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馬の文献:手根骨盤状骨折(Hirsch et al. 2007)

「サラブレッド競走馬の第三手根骨前面盤状骨折に対するチタン無頭漸減不定ピッチ圧迫螺子を用いての整復法の臨床評価」
Hirsch JE, Galuppo LD, Graham LE, Simpson EL, Ferraro GL. Clinical evaluation of a titanium, headless variable-pitched tapered cannulated compression screw for repair of frontal plane slab fractures of the third carpal bone in thoroughbred racehorses. Vet Surg. 2007; 36(2): 178-184.

この症例論文では、第三手根骨(second carpal bone)の前面盤状骨折(Frontal plane slab fracture)に対する有用な外科的療法を検討するため、1999~2004年にかけて、第三手根骨の前面盤状骨折を呈して、チタン無頭漸減不定ピッチ圧迫螺子(Titanium, headless variable-pitched tapered cannulated compression screw:Acutrak螺子)による内固定法(Internal fixation)が応用された17頭の患馬の、医療記録(Medical records)の解析が行われました。

結果としては、17頭の罹患馬のうち、レース復帰を果たしたのは71%でしたが、骨折前に既に出走していた15頭では、レース復帰を果たしたのは80%に及びました。このうち、手術からレース復帰までの休養期間は平均349日で、平均獲得賞金(一レース当たり)を見ると、骨折前($3061/race)と治療後($2452/race)のあいだに有意差は認められませんでした。このため、馬の第三手根骨の前面盤状骨折に対しては、Acutrak螺子を用いての内固定法によって、十分な骨折治癒と良好な予後が期待され、レース復帰および競走能力の維持を果たす馬の割合が、比較的に高いことが示唆されました。生体外実験(In vitro experiment)を用いた過去の文献では、Acutrak螺子による第三手根骨盤状骨折モデルの整復によって、通常のAO規格の皮質骨螺子(Cortical lag screw)と同程度の整復強度が期待されることが報告されており(Bueno et al. 2003. Vet Surg. 2003;32:167)、今回の研究によって、実際の臨床症例に対しても良好な治療成績が期待できることが示唆されたことになります。

一般的に、Acutrak螺子による骨折整復の利点としては、(1)無頭であるため関節周囲軟部組織の損傷(Peri-articular soft-tissue damage)が起こりにくいこと、(2)螺子頭が折れて骨折片間圧迫(Inter-fragmentary compression)が損失する危険が無いこと、(3)骨と螺子の境界(Bone-screw-interface)がより密着しているため骨折片の分割(Fragment splitting)や螺子破損(Screw breakage)を生じる可能性が低いこと、などが挙げられています。また、Acutrak螺子はAO螺子よりも細いため、挿入角度がずれた場合でも、関節軟骨を損傷することなく、螺子の再挿入(Screw re-positioning)を行うことが容易になります。一方、Acutrak螺子による骨折整復の欠点としては、(1)AO螺子に比べて作用させられる骨折片間圧迫が低いこと、(2)AO螺子よりも螺子除去の難易度が高いこと、(3)硬度の高い骨にAcutrak螺子を挿入する際には外科手技的な熟練を要すること、などが挙げられています。

この研究では、骨折片の幅と厚さに基づいて、Acutrak螺子にサイズを選択する指針が用いられており、螺子の長さは骨片の厚さの1.5倍、螺子の直径は骨片の幅の40~50%とする指針が推奨されています。また、通常の螺子固定術に準じて、橈側関節面(Radial facet)と中間関節面(Intermediate facet)の両方にまたがる盤状骨折片に対しては、二本のAcutrak螺子を用いての整復術が行われました。

この研究では、術中合併症(Intra-operative complication)として、ドリルビットの破損が二頭において発生しましたが、いずれの症例においても、折れたビットを回収し、より直径の大きい螺子を挿入することで、良好な骨折整復が達成されました。この合併症を防ぐ要因としては、新しくて鋭いドリルビットを使用すること、ドリルビットの溝に溜まった骨細片(Bone debris)を頻繁に取り除くこと、ドリル穿孔中に過剰な屈曲力(Excessive bending force)が掛からないようにすること、などが挙げられています。

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