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馬の文献:手根骨破片骨折(Kawcak et al. 1998)

「馬の手根関節の軟骨下骨に対する骨軟骨片と関節内投与されたトリアムシノロンの影響」
Kawcak CE, Norrdin RW, Frisbie DD, Trotter GW, Mcilwraith CW. Effects of osteochondral fragmentation and intra-articular triamcinolone acetonide treatment on subchondral bone in the equine carpus. Equine Vet J. 1998; 30(1): 66-71.

この研究論文では、手根骨破片骨折(Carpal chip fracture)の関節鏡的骨片摘出(Arthroscopic fragment removal)において、その予後(Prognosis)に大きく影響する要因である骨関節炎(Osteoarthritis)の予防法および治療法を検討するため、片方の前肢の遠位橈側手根骨(Distal radial carpal bone)に軟骨欠損(Cartilage defect)を作成した十二頭の実験馬のうち、六頭は軟骨欠損を作成した関節へのトリアムシノロン注射(術後の14日目と28日目)(=治療郡)、残りの六頭は対側肢の正常手根関節へのトリアムシノロン注射を行い(=対照郡)、トレッドミル運動(術後15日目から)による負荷を与えて、レントゲン検査(Radiography)、滑液検査(Arthrocentesis)、跛行検査(Lameness examination)、および、手術から72日目に滑膜(Synovial membrane)、関節軟骨(Articular cartilage)、軟骨下骨(Subchondral bone)、および海綿骨領域(Trabecular bone area)の組織学的検査(Histologic evaluation)が行われました。

結果としては、治療郡の馬は対照郡の馬に比べて、有意に低い跛行グレードを示しましたが、軟骨欠損が作成された関節を治療郡と対照郡とで比較すると、関節軟骨と軟骨下骨の境界部における骨再構築像(Bone remodeling)には、有意差は認められませんでした。このため、馬の手根骨破片骨折における骨折片摘出(Fragment removal)では、トリアムシノロンの関節注射によって、疼痛緩和が期待され、軟骨下骨への有害作用(Detrimental effect)は生じないことが示唆されました。しかし、コルチコステロイドの関節内投与では、軟骨細胞(Chondrocytes)や細胞外基質(Extra-cellular matrix)に悪影響を与える危険が指摘されており、投与濃度や頻度によっては同様な有害作用が軟骨下骨に及ぶ可能性も否定できないという考察がなされており、この研究のデータのみから、軟骨下骨に対するトリアムシノロンの安全性を過剰評価(Over-estimation)するのは適当ではない、という警鐘が鳴らされています。

一般的に、馬の関節性骨折(Articular fracture)に対する骨片摘出や内固定(Internal fixation)では、術後の数週間目にコルチコステロイドを関節内投与することで、痛みや跛行を緩和(Pain/Lameness reduction)したり、滑膜炎(Synovitis)を減退させることで、早期の運動復帰を図るという“治療”が行われており、この機序としては、炎症介在性物質の遊離減少(Decreasing the release of inflammatory mediators)、インターロイキン1の抑制、および、酸素由来遊離基の消去(Scavenger of oxygen-derived free radicals)などが挙げられています。

この研究では、橈側手根骨の軟骨欠損部の対側関節面に当たる第三手根骨(Third carpal bone)において、関節軟骨の部分層的糜爛(Partial thickness erosion)が認められ(いわゆるKissing lesion)、この箇所での軟骨下骨および海綿骨領域では、血管浸潤(Vascularity)、単標識骨表面(Single-labelled bone surface)、石灰化表面(Mineralization surface)などが有意に増加していました。このようなKissing lesionでは、不均等な関節面に圧迫(Compression by incongruent articular surface)されることで骨再構築が促進され、局所性骨治癒加速現象(Regional acceleratory phenomenon)が起こったものと推測されています。

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