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馬の病気:蹄骨炎

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蹄骨炎(Pedal ostitis)について。

末節骨(=蹄骨)の炎症(Inflammation of distal phalanx)とそれに起因する脱ミネラル化(Demineralization)を起こす疾患で、感染性蹄骨炎(Septic pedal ostitis)と非感染性蹄骨炎(Non-septic pedal ostitis)に分類されます。感染性蹄骨炎の病因としては、穿孔性外傷(Penetrating wound)に起因する蹄底膿瘍(Subsolar abscess)、深部に達する裂蹄(Deep hoof crack)、蹄壁裂傷(Hoof wall avulsion)などが挙げられています。一方、非感染性蹄骨炎は、重度の蹄底挫傷(Severe sole bruising)、慢性蹄血班(Chronic corn)、蹄葉炎(Laminitis)などに起因すると考えられています。しかし、個体差の大きい正常範囲内の蹄骨性状と、異常を示唆する脱ミネラル化所見とを区別することは難しく、また非感染性蹄骨炎は他の蹄疾患に続発する病態である場合も多いため、“蹄骨炎”という病名を用いることは適当でないという提唱もあります。

感染性蹄骨炎の症例では、中程度~重度の跛行(Moderate to severe lameness)、蹄壁の熱感(Heat on hoof wall)、肢動脈拍動の亢進(Increased digital pulse)などの症状を呈し、掌側指神経麻酔(Palmar digital nerve block)によって症状の改善が見られますが、跛行が完全に消失しないこともあります。非感染性蹄骨炎の症状は、原発性疾患の病態によりますが、一般に軽度~中程度の跛行(Mild to moderate lameness)と蹄鉗子(Hoof tester)による広汎性圧痛(Diffuse pain on hoof tester palpation)を示し、掌側指神経麻酔によって良好な跛行の改善が見られます(蹄骨尖の異常を呈した場合を除いて)。

感染性蹄骨炎のレントゲン検査では、小柱様骨像の消失(Loss of trabecular bony appearance)や蹄骨辺縁の不鮮明化(Indistinct margin)を示し、腐骨形成(Sequestrum formation)が続発した症例では辺縁硬化症(Marginal sclerosis)が見られる場合もあります。非感染性蹄骨炎のレントゲン検査では、蹄骨底部辺縁(Distal phalanx solar margin)の脱ミネラル化、蹄骨辺縁の変則性骨形成(Irregular bone formation)、栄養孔幅の拡大(Widening of nutrient foramina)などが確認されます。しかし、これらの所見は稀に健常馬にも見られること、また過去に起きた骨変性が無疼痛性に残存している症例もあること、などを考慮して、レントゲン所見のみで蹄骨炎の診断を下すことは適当でないという警鐘が鳴らされています。診断麻酔(Diagnostic anesthesia)による跛行改善と脱ミネラル化を示すレントゲン所見に加えて、核シンティグラフィー(Nuclear scintigraphy)による蹄骨辺縁の放射医薬性取込(Radiopharmaceutical uptake)が、非感染性蹄骨炎を跛行の原因疾患として診断する際に有用である可能性が示唆されています。

感染性蹄骨炎の治療では、蹄底削切(Hoof sole trimming)を介して感染骨の除去(Infected bone removal)と病巣清掃(Debridement)を行い、羅患組織を用いての細菌培養(Bacterial culture)と抗生物質感受性試験(Anti-microbial susceptibility test)によって使用薬物を選択します。感染部の掻爬術(Curettage)では、最大で蹄骨の24%まで除去しても競走および競技能力には有意な影響がでない事が報告されています。術後には、患部への海綿骨移植(Cancellous bone graft)や抗生物質含有PMMAビーズ(Antibiotic-impregnated polymethylmethacrylate beads)の充填、抗生物質の遠位肢局所灌流(Distal limb regional perfusion)等が実施される事もあります。非感染性蹄骨炎の症例では、原発性疾患への治療を第一とし、補助的療法として長期にわたる馬房休養(Prolonged stall rest)と非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)の投与が行われます。

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