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馬の文献:管骨骨折(Martin. 2000)

「第三中手骨または第三中足骨の顆状突起骨折に対する螺子固定術を受けたサラブレッドにおける競走能力に関与する因子」
Martin GS. Factors associated with racing performance of Thoroughbreds undergoing lag screw repair of condylar fractures of the third metacarpal or metatarsal bone. J Am Vet Med Assoc. 2000; 217(12): 1870-1877.

この症例論文では、サラブレッド競走馬の第三中手骨または第三中足骨(Third meta-carpal/tarsal bone)の顆状突起骨折(Condylar fracture)に対する外科的療法において、その予後に関与する因子を評価するため、管骨顆状突起骨折を対して螺子固定術(Lag screw fixation)を介しての外科的療法が応用された56頭の、患馬の医療記録(Medical records)の解析が行われました。

この研究では、多重ロジスティック回帰解析(Multiple logistic regression analysis)の結果から、非変位性骨折(Non-displaced fracture)を起こした馬がレース復帰する可能性は、変位性骨折(Displaced fracture)を起こした馬に比べて十七倍近くも高いことが示されました(オッズ比:16.67)。また、非変位性骨折を起こした馬がレース復帰して勝利する可能性は、変位性骨折を起こした馬に比べて十二倍近くも高いことが示されました(オッズ比:11.72)。このため、サラブレッド競走馬における管骨顆状突起骨折では、変位性骨折であるか否かが、外科的療法における予後に大きく関与する因子であることが示唆されました。さらに、レース復帰後の獲得賞金が、骨折治療費の二倍を上回った割合は、非変位性骨折を起こした馬では76%(22/29頭)であったのに対して、変位性骨折を起こした馬では13%(2/15頭)にとどまりました。

この研究では、多重ロジスティック回帰解析の結果から、牡馬の症例がレース復帰する可能性は、牝馬の症例に比べて五倍以上も高いことが示されました(オッズ比:5.54)。また、牡馬の症例における治療後の出走回数は平均19.8回で、牝馬の症例における治療後の出走回数(2.4回)よりも、有意に多かったことが示されました。これらのデータは、手術後に治癒が芳しくなかった場合には、牝馬の症例のほうが繁殖馬として引退する割合が高かったことに起因すると考えられ、牡馬の症例のほうが牝馬よりも予後が良いと結論付けるのは難しい、という考察がなされています。

この研究では、牡馬の症例で変位性骨折を呈していたのは18%(5/28頭)に過ぎなかったのに対して、牝馬の症例では変位性骨折を呈していたのは63%(10/16頭)に及んでいました。これは、症例来院の際の偏向(Bias)に起因すると仮説されており、つまり、繁殖馬牝馬として引退するというオプションがある牝馬の症例のほうが、非変位性骨折に対して、安価な保存性療法(Conservative treatment)による治療を選択する可能性が高く、外科的療法の対象として来院する割合が低かったため、と考察されています。

この研究では、単一ロジスティック回帰解析(Univariate logistic regression analysis)の結果から、骨折片の幅(Fracture fragment width)が13.5mm以上であった馬がレース復帰して勝利する可能性は、骨折片の幅が13.5mm以下であった馬に比べて十一倍以上も高いことが示されました(オッズ比:11.33)。これは、骨折片に厚みがあるほど、より堅固な内固定術が実施でき、早期の骨折治癒と、球節の変性関節疾患(Degenerative joint disease)の予防につながり、結果的に良好な予後を示したためと考察されています。

この研究では、最も下部(遠位側)に挿入された螺子の位置と、治療後の出走回数のあいだに有意な相関が見られ、最も下部の螺子が関節面から遠いほど、術後により多くのレースに出走できたことが示されました。このため、サラブレッド競走馬における管骨顆状突起骨折では、最も下部の螺子を顆状突起上窩(Epicondylar fossa)よりも近位側に挿入することで、予後を向上できる可能性もあると推測されています。しかし、骨折片の幅が薄い場合には、術者は関節面に近い箇所に螺子を挿入せざるをえないと考えられ、螺子の位置、骨折片の厚さのうち、どちらが直接的に予後に影響しているのかを特定するのは困難である、という考察もなされています。

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