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馬の文献:管骨骨折(Hanie et al. 1992)

「第三中手骨の皮質骨疲労骨折に対して骨穿刺術が行われた28頭の馬の経過追跡」
Hanie EA, Sullins KE, White NA. Follow-up of 28 horses with third metacarpal unicortical stress fractures following treatment with osteostixis. Equine Vet J Suppl. 1992; (11): 5-9.

この症例論文では、馬の第三中手骨(Third metacarpal bone)の皮質骨疲労骨折(Unicortical stress fractures)に対する外科的療法(=骨穿刺術:Osteostixis)による治療効果を評価するため、1985~1989年にかけて第三中手骨の不完全皮質骨折を呈した28頭の患馬(31箇所の骨折)における、医療記録(Medical records)の回顧的解析(Retrospective analysis)が行われました。

結果としては、28頭の患馬のうち、経過追跡(Follow-up)ができなかった一頭を除くと、調教および競走(最低三回の出走)に復帰した馬の割合は93%(25/27頭)にのぼりました。このうち、半数以上の馬は、骨折前よりもレベルの高いレースに出走を果たしており、また、手術から調教開始までには平均四ヶ月、手術からレース復帰までには平均七ヶ月を要したことが報告されています。このため、競走馬の第三中手骨における皮質骨疲労骨折に対しては、骨穿刺術を介しての外科的療法によって、十分な骨折治癒と良好な予後が期待され、レース復帰および競走能力の向上を果たす馬の割合が高いことが示唆されました。

馬の管骨における皮質骨疲労骨折に対して、骨穿刺術が有効である理由はハッキリとは確定されていませんが、潜在的な機序(Potential mechanism)としては、(1)骨髄組織から骨折部位へと骨芽細胞(Osteoblasts)や成長因子(Growth factor)が供給されて骨折の治癒促進につながること、(2)ドリル孔を介して骨髄組織から増殖してきた海綿骨(Cancellous bone)によって骨折箇所が安定化(Immobilization)されること、(3)皮質骨組織を損傷させることで局所性骨治癒加速現象(Regional acceleratory phenomenon)が起こること、などが挙げられています。このため、管骨皮質骨面に対して骨穿刺術が応用される場合には、必ず骨髄腔(Medullar cavity)まで達する穿刺を施すことが重要であると考えられています。

この研究では、28頭の患馬の全頭において背側管部の隆起(いわゆる“ソエ”の外観)が認められ、“殆ど”の患馬において隆起部位の圧痛(Pain on palpation)が見られました。レントゲン検査では側方撮影像(Latero-medial view)または背内掌外方撮影像(Dorsomedial-to-palmarlateral view)によって、皮質骨疲労骨折の確定診断(Definitive diagnosis)が下され、診断麻酔(Diagnostic anesthesia)による疼痛箇所の特定を要したのは二頭のみでした。

この研究では、骨折の罹患肢は、左前肢(27/31骨折)のほうが右前肢(4/31骨折)よりも有意に多く、また、骨折の発生箇所は、背外側面(Dorsolateral surface)が84%(26/31骨折)を占めており、背側面(Dorsal surface)および背内側面(Dorsomedial surface)よりも有意に発症率が高いことが示されました。馬の管骨における骨モデリングは、背外側面よりも背内側面のほうが活発で、背内側面のほうが皮質骨が厚くなり易いことが知られており、この結果、管骨の背外側面が相対的に弱体化(Relative weakening)して、皮質骨疲労骨折を発症しやすくなると考えられています。

この研究では、約半数の症例(15/31骨折)が起立位手術(Standing surgery)、残りの半数の症例(16/31骨折)が全身麻酔下(Under general anesthesia)での手術が行われました。このうち、全身麻酔が選択された場合には、麻酔覚醒(Anesthesia recovery)の際に遠位ギプスによる外固定法(External fixation)が用いられ、ドリル穿孔に起因する致死性管骨骨折(Catastrophic cannon bone fracture)を呈した症例は一頭もありませんでした。そして、手術後のレース復帰率や競走成績には、手術法の違い(起立位 v.s. 全身麻酔)による有意差は認められず、また、起立位手術と全身麻酔下での手術で、手術時間そのものにも有意差は見られませんでした。

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