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馬の病気:食道狭窄

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食道狭窄(Esophageal stricture)について。

馬における食道狭窄は、食道閉塞(Esophageal obstruction)による粘膜面(Mucosal surface)の周回性糜爛や潰瘍(Circumferential erosion/ulceration)を呈した際の、合併症(Sequelae)として最も多く発症し、その病態を食道輪形成(Esophageal ring formation)と呼びます。また、筋層(Muscular layer)の損傷に起因する壁在性狭窄(Mural stricture)、食道全層の異常に起因する環状狭窄(Annular stenosis)、および、先天性狭窄症(Congenital esophageal stenosis)、右大動脈弓遺残(Persistent right aortic arch)、食道重複嚢胞(Esophageal duplication cyst)、管腔内腫瘤形成(Lumenal mass formation)等によって起こる食道狭窄の症例も報告されています。

食道狭窄の症状は食道閉塞に類似し、流唾(Ptyalism)、水や摂食物の逆流(Water and food regurgitation)、両側性鼻汁(Bilateral nasal discharge)、咳嗽(Coughing)、嚥下痛(Odynophagia)、頚静脈溝部の硬化腫脹(Firm swelling on jugular furrow)などを呈し、発症前の30日以内に食道閉塞の病歴を持つ症例が多いことが報告されています。内視鏡検査(Endoscopy)では、食道輪や管腔内腫瘤などが観察されますが、壁在性狭窄や環状狭窄を発症した場合には、食道の二重造影レントゲン検査(Double-contrast esophagrams)を要することもあります。

食道狭窄の治療では、食道閉塞による損傷部の治癒に伴って狭窄部位の自発性回復(Spontaneous resolution)が起こる事も多いため、最長60日間にわたる保存性療法(Conservative therapy)に不応性(Refractory)を示した症例に対してのみ、外科的療法を実施する指針が示されています。保存性療法としては、細かく刻んだ青草&ふやかしたペレットなどの柔らかい飼料の給餌を行い、非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)および広域抗生物質(Broad-spectrum antibiotics)の投与も併用されます。また、Bougienageやカフ付き胃カテーテルの挿入によって、狭窄部位の物理的拡張(Physical dilation)が試みられる場合もありますが、頻繁な治療行為を要するため、治療成功率はそれほど高くない事が知られています。

外科的療法としては、食道造瘻術(Esophagostomy)を介しての狭窄部の開窓術(Stricture fenestration)、食道筋切開術(Esophagomyotomy)とその後の周囲筋肉の移植(Local musculature grafting)、狭窄部の切除&吻合術(Stricture resection and anastomosis)などの術式が応用されています。このうち、食道筋切開術のみによって整復可能な壁内病巣(Mural lesion)の場合が、最も予後が良いことが報告されています。一般的に、食道は漿膜層(Serosal layer)を欠くため、縫合&吻合部からの内容物の漏出(Leakage)を起こし易く、また、嚥下による術創緊張(Tension on incisions during swallowing)や頚部伸展(Neck extension)による手術部動揺によって、治癒には長期間を要する症例が多いことが知られています。通常、食道狭窄の発症に際して、食道周囲が部分的に損傷した場合には、狭窄には至らない事から、食道部位への外科的アプローチでは、食道を膜性結合から剥離(Mobilization of esophagus from fascial attachments)し過ぎるのは好ましくない、と提唱されています。

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