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馬の文献:球節破片骨折(Kawcak et al. 1994)

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「336頭の馬における近位背側基節骨の骨軟骨破片形成」
Kawcak CE, McIlwraith CW. Proximodorsal first phalanx osteochondral chip fragmentation in 336 horses. Equine Vet J. 1994; 26(5): 392-396.

この症例論文では、馬の球節(Meta-carpo/tarso-phalangeal joint: Fetlock joint)の近位背側基節骨(Proximo-dorsal aspect of proximal phalanx)における、骨軟骨破片(Osteochondral chip fragmentation)に対する関節鏡手術(Arthroscopic surgery)の治療効果を評価するため、近位背側基節骨の骨軟骨破片を呈した336頭の患馬(439関節、572骨片)の医療記録(Medical records)の回顧的解析(Retrospective analysis)が行われました。

結果としては、経過追跡(Follow-up)ができなかった50頭を除くと、関節鏡手術を介しての骨軟骨破片の摘出によって、競走&競技復帰を果たした馬は73%(208/286頭)で、このうち、入院前と同レベルの成績を残した馬は53%(153/286頭)であったことが示されました。また、骨軟骨破片の再発(Recurrence)を示したのは、6%(18/286頭)の馬のみであったことが報告されています。このため、近位背側球節の骨軟骨破片を呈した罹患馬では、関節鏡手術によって中程度~良好な予後が期待され、競走復帰する馬の割合も比較的に高いことが示唆されました。

この研究では、球節の骨軟骨破片に他の球節病巣(Other fetlock lesions)が併発した場合や、球節と手根関節(Carpal arthroscopy)の破片骨折が併発した場合に、その予後への影響が評価されており、336頭の症例全体のデータを解析した場合には、病態タイプはその予後に有意には影響しないという結果が示されました。しかし、サラブレッド競走馬に限って言えば、球節の骨軟骨破片のみを呈した馬における競走復帰率は92%(45/49頭)で、これは、球節骨軟骨破片に他の球節病巣が併発した馬における競走復帰率である74%(58/78頭)や、球節と手根関節の破片骨折を併発した馬における競走復帰率である68%(19/28頭)に比べて、有意に高いことが示されました。このため、高速運動を要求されるサラブレッドにおいては、複数の病態を併発した馬では、病態が球節の骨軟骨破片に限定されている馬に比べて、予後が有意に悪化することが示唆されました。

この研究では、年代による球節骨軟骨破片の動向の変化が評価されており、80年代には一つの関節当たりの骨片の数が1.0~1.7個であったのに対して、90年代に入るとこの一つの関節当たりの骨片の数が1.9~2.1個まで増加したというデータが示されています。この要因としては、(1)関節注射などの普及によって、関節腔内に骨軟骨片を持った状態でも調教やレース出走を続けることができるようになり、結果的に競走シーズン終了後に入院した際に発見される骨片の数が増えたこと、(2)関節鏡機器や術者の技術が進歩したことで、過去には見逃されていたような小さな骨片も発見されるようになったこと、などが挙げられています。

この研究では、336頭の近位背側球節骨軟骨破片の患馬のうち、前肢に罹患した馬は94%(317/336頭)であったのに対して、後肢に罹患した馬は5%(18/336頭)に過ぎなかったことが示されています(残りの一頭は四肢すべてに罹患)。また、関節内の骨片の位置を見ると、内背側部位(Dorso-medial aspect)に罹患した馬は65%(217/336頭)、外背側部位(Dorso-lateral aspect)に罹患した馬は5%(17/336頭)、内外背側の両方に罹患した馬は30%(102/336頭)であったことが報告されています。このため、馬の近位背側球節の骨軟骨破片では、後肢よりも前肢のほうが、外背側部位よりも内背側部位のほうが、発症率が顕著に高いことが示唆されました。

この研究では、経過追跡ができた286頭の患馬のうち、骨片の再発率は、競走馬では7%(18/270)、非競走馬では0%(0/16)であったことが報告されており、高速運動や球節の過剰伸展(Fetlock over-extension)などを強いられる競走馬において、病態の再発が起き易いことが示唆されました。一方、競走馬における競走復帰率は73%(196/270頭)、非競走馬における競技復帰率は75%(12/16頭)で、両郡のあいだに有意差は認められませんでした。また、サラブレッド競走馬における競走復帰率は73%(122/167頭)、骨片再発率は7%(12/167頭)であったのに対して、クォーターホース競走馬における競走復帰率は72%(74/103頭)、骨再発率6%(6/103頭)で、品種間にも有意差は認められませんでした。

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