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馬の文献:中節骨骨折(Bukowiecki et al. 1989)

「ブロード・ダイナミック・コンプレッションプレートを用いての馬の中節骨粉砕骨折の治療」
Bukowiecki CF, Bramlage LR. Treatment of a comminuted middle phalangeal fracture in a horse by use of a broad dynamic compression plate. J Am Vet Med Assoc. 1989; 194(12): 1731-1734.

この症例論文では、中節骨の粉砕骨折(Comminuted middle phalangeal fracture)に対する、ブロード・ダイナミック・コンプレッションプレート(Broad dynamic compression plate)を用いての外科的療法が試みられました。

患馬は、十一歳齢のサドルブレッド去勢馬(体重530kg)で、野外走行中の事故で非負重性跛行(Non-weight-bearing lameness)を呈し、紹介獣医師(Referring veterinarian)によるレントゲン検査において、中節骨の粉砕骨折の発症が確認されました。

治療では、全身麻酔下(Under general anesthesia)での横臥位(Lateral recumbency)において、中節骨の背側部位に設けられたY字形皮膚切開創(Y-shaped skin incision)と、Z字形の長肢伸筋腱切開術(Z-shaped long digital extensor tenotomy)を介してのアプローチが行われました。そして、冠関節切開術(Pastern arthrotomy)によって関節軟骨が切除(Articular cartilage removal)され、六孔のブロード・ダイナミック・コンプレッションプレートが、中節骨の骨折片と基節骨(Proximal phalanx)との背側面を架橋するように設置されましたが、骨の破砕が重度であったため、骨折箇所へ圧迫を掛けることは出来ませんでした。その後、病巣部への海綿骨移植(Cancellous bone graft)と、遠位肢ギプス(Distal limb cast)の装着が行われ、頭部および尾部のロープ支持による麻酔覚醒(Anesthesia recovery)が実施されました。

患馬は、手術直後から罹患肢への体重負荷を示しましたが、術後の二週間目と四週間目に褥瘡(Pressure sore)によるものと考えられる急性跛行(Acute lameness)を呈したことから、ギプス交換または除去が行われ、レントゲン検査によって内固定箇所は損傷されていないことが確認されました。患馬は、術後の五週間目に退院し、術後の三ヶ月目におけるレントゲン検査によって骨折箇所の良好な治癒が認められ、術後の四ヶ月目から騎乗使役へと復帰しました。しかし患馬は、速歩時における持続的な軽度跛行(Chronic mild lameness)を示し、中節骨掌側面へと突出していた一本の螺子が跛行の原因である可能性があったため、全身麻酔下でこの螺子は摘出除去されました。患馬はその後、跛行の再発(Lameness recurrence)も見せず良好な経過を示し、完全な調教&競技への復帰を果たしたことが報告されています。

この研究では、ブロード・ダイナミック・コンプレッションプレートを用いての冠関節固定術(Pastern arthrodesis)が実施され、この術式は、ギプスのみ、骨螺子のみ、T字形プレート、またはナロー・ダイナミック・コンプレッションプレート(Narrow dynamic compression plate)を用いた手法よりも、内固定術の物理的強度が高く、術後の比較的早期に良好な骨癒合(Bony fusion)を達成できたと推測されています。また、強度の高い内固定法を応用することで、ギプスなどの外固定(External fixation)を併用する期間を短く抑えることが可能となるため(この症例では術後の四週間目まで)、ギプス装着によって起こる重篤な褥瘡を予防できるという利点もあります。

一般的に、プレート固定術を介しての馬の冠関節固定術では、プレートの外科的除去はひとつの選択肢であることが提唱されており、(1)持続的な跛行を示した症例、(2)プレートが長過ぎてその遠位端が末節骨の伸筋突起(Extensor process of distal phalanx)を圧迫していると考えられる症例、などにおいては、良好な骨折治癒が確認された後、出来るだけ早期にプレート除去を実施するという治療指針が示されています。

この研究では、一本の螺子が中節骨の掌側面への突出(Palmar protrusion)を起こして、その先端が深屈腱(Deep digital flexor tendon)に迷入したことが、持続的跛行を呈した原因であると考えられたため、この螺子の先端箇所に対して、局所麻酔の浸潤(Local anesthesia infusion)が行われ、顕著な跛行の改善(Marked lameness improvement)が見られたことから、二度目の手術による螺子の摘出が実施されました。この手法は、この症例馬のように長すぎた螺子が疼痛原因である場合と、骨折の治癒遅延(Delayed union)が疼痛原因である場合(=その時点では螺子を摘出すべきではない)を見分けるのに有効であると考察されています。

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