RSS

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

馬の文献:末節骨骨折(Vandeweerd et al. 2009)

「起立位CT検査による馬の末節骨への螺子挿入指針の同定:生体外試験」
Vandeweerd JM, Perrin R, Launois T, Brogniez L, Clegg PD, Desbrosse FG. Use of computed tomography in standing position to identify guidelines for screw insertion in the distal phalanx of horses: an ex vivo study. Vet Surg. 2009; 38(3): 373-379.

この研究論文では、起立位CT検査(Standing computed tomography)による馬の末節骨(Distal phalanx)への螺子挿入指針(Guidelines for screw insertion)の同定の有用性および信頼性を評価するため、十本の馬の遠位肢を用いて、螺子の挿入箇所、挿入角度、および螺子の長さを、起立位CT検査およびレントゲン検査(Radiography)によって同定したのち、末節骨への螺子挿入を行い、その挿入具合いの評価が行われました。

結果としては、螺子挿入指針の同定における有用性および信頼性を、末節骨の底面方向に対する螺子挿入角度のブレ(Direction of screw from parallel to solar surface)、蹄関節方向に対する螺子挿入角度のブレ(Direction of screw from parallel to articular border)、螺子の長さ(Length of the screw)、螺子の位置(Position of the screw)、などをスコア方式で評価した場合に、起立位CT検査を用いての螺子挿入指針のほうが、レントゲン検査を用いての螺子挿入指針に比べて、有意に良好な総合スコアを示しました。このため、馬の末節骨骨折(Distal phalanx fracture)に対する外科的治療を行う際には、起立位CT検査を介して螺子挿入指針を同定することで、より正確かつ信頼性のある螺子固定術(Lag-screw fixation)が実施できることが示唆されました。なお、末節骨骨折の予後に大きく関わる、蹄関節面(Coffin joint surface)、半月状管(Semilunar canal)、末節骨底面(Solar surface of distal phalanx)などへの螺子迷入は、いずれの郡においても認められませんでした。

起立位CT検査は、装置の価格が一般的なCTよりも安く、小規模~中規模の馬病院においても導入が可能であることに加えて、全身麻酔(General anesthesia)を要さずに撮影ができることから、馬の遠位肢(=手根関節よりも遠位側)の疾患における精密な診断の際に、有用性が高いと考えられます。しかし、CT映像の撮影中における馬体の僅かな動きはどうしても起こるため、その鮮明性は通常のCTほど良くはないことが知られています。今後の研究では、骨折の起きている末節骨に対する螺子挿入を行ったり、実際に臨床症例への応用を検討することで、起立位CT検査を介しての末節骨骨折治療の有用性を、さらに詳しく評価する必要があると考察されています。

この研究では、末節骨の底面方向に対する螺子挿入角度のブレにおいては、起立位CT検査とレントゲン検査とのあいだに有意差は認められませんでしたが、蹄関節方向に対する螺子挿入角度のブレにおいては、レントゲン検査よりも起立位CT検査のほうが信頼性が高いことが示されました。これは、起立位CT検査と異なり、レントゲン検査では蹄部を水平方向へと輪切りにした状態(=末節骨を真上から見た状態)での映像を得ることが不可能であるため、この軸における螺子挿入角度が必ずしも正確には同定できなかったことを反映したデータである、という考察がなされています。

この研究では、螺子が短すぎて、螺子の先端が反対側の皮質(Opposite cortex)にまでは達していなかった事例が、起立位CT検査を用いた場合には10%(1/10本の末節骨)、レントゲン検査を用いた場合には50%(5/10本の末節骨)において見られ、レントゲン検査に比べて起立位CT検査のほうが、より正確に螺子の長さを推測できることが示唆されました。これは、螺子が末節骨背側面の弓隆部(Convexity)を成している箇所に挿入されるため、レントゲン像上ではその挿入箇所の骨の幅を、CTほど正確には測定できなかったことを反映したデータであると考えられます。今回の研究では検証されていませんが、螺子が短すぎると骨折片内に刻まれるスレッドの数が十分でなく、螺子固定の強度が落ちてしまうと予測されます。末節骨骨折における螺子固定術では、蹄骨表面と蹄葉組織が強固に結合しているため、デプスゲージによって手動で螺子の長さを測定するのが困難である場合が多いことが知られており、CTなどの信頼性の高い画像診断法を用いて、螺子先端の位置を正確に同定することが重要であるのではないでしょうか。

この研究では、馬の末節骨への螺子挿入指針の同定において、起立位CT検査が用いられた場合には手術時間(Surgery time)は平均8分であったのに対して、レントゲン検査が用いられた場合の手術時間は平均13分であったことが報告されています。

Copyright (C) nairegift.com/freephoto/, freedigitalphotos.net/, ashinari.com/ All Rights Reserved.
Copyright (C) Akikazu Ishihara All Rights Reserved.

関連記事:
馬の病気:末節骨骨折

スポンサーサイト

プロフィール

Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: 40代
住所: 神奈川県
職業: 獣医師・獣医学博士
叩けよ、さらば開かれん!

ブログメニュー

FC2カウンター

リンク

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新記事

月別アーカイブ

お断わり

20130414_Blog_Message_Pict1.jpg
このサイトに掲載されているイラスト、画像、文章は、すべて管理主自身が作成したもの、もしくは、著作権フリーの素材リンクから転載したものです。

カテゴリ

全記事表示リンク

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
243位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
27位
アクセスランキングを見る>>

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

FC2ブログランキング

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。