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馬の病気:裂蹄

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裂蹄(Hoof wall crack)について。

蹄壁に裂け目を生じる疾患で、病態の分類法としては、(1)発症部位による分類:蹄尖裂(Toe crack)、蹄側裂(Quarter crack)、蹄踵裂(Heel crack)、蹄叉裂(Bar crack)、(2)裂け目の長さによる分類:完全裂蹄(Complete crack)または不完全裂蹄(Incomplete crack)、(3)裂け目の深さによる分類:浅裂蹄(Superficial crack)または深裂蹄(Deep crack)、(4)裂傷起始部による分類:蹄底裂(Crack from ground surface)または蹄冠裂(Crack from coronary band)などが用いられます。裂蹄の病因としては、蹄形異常(Improper foot balance)、蹄冠欠陥(Coronary band defects)、蹄の過剰伸張(Excessive hoof growth)、蹄壁の乾燥(Dry hoof wall)などが挙げられています。また、外傷性の蹄壁裂傷(Hoof wall laceration)は、踏み掛けや蹴傷などによって生じる事が一般的です。

裂蹄の診断は視診によって下されますが、蹄の触診(Palpation)と蹄壁の蹄鉗子検査(Hoof tester examination)によって、疼痛の度合いや裂け目の周辺の蹄壁不安定性(Hoof wall instability)を調べる事が重要です。裂蹄における病態の重篤度は、主に裂け目の長さではなく深さによって決まり、また、異常を呈した蹄壁の裂け目は深部から始まることも多いことが知られています。跛行を示した症例においては、必ず診断麻酔(Diagnostic anesthesia)による疼痛部位の限局化(Pain localization)を行って、裂蹄と跛行の因果関係(Causality)を確認することが重要です。外傷性の蹄壁裂傷を起こした症例では、触診やレントゲン検査によって、蹄骨骨折(Distal phalanx fracture)や蹄関節側副靭帯(Collateral ligaments of coffin joint)の損傷を検査したり、蹄関節および深屈腱鞘(Deep digital flexor tendon sheath)へ注入した生理食塩水の裂傷部からの漏出試験を行って、滑液組織(Synovial structure)への穿孔を確かめる事が大切です。

裂蹄の治療としては、軽度の浅裂蹄の症例では、エッグバー蹄鉄(Egg bar shoes)の装着、裂蹄線の両側への鉄唇(Clips)の設置、裂蹄線の底部の削切、裂蹄線の上端部への削り目の形成、などが施されます。重篤な深裂蹄の症例では、壊死組織(Necrotic tissue)や感染組織(Infected tissue)の病巣清掃を施して、24~48時間にわたる消毒剤への浸漬(Antiseptic soak)をした後、裂蹄線の外科的固定化(Surgical stabilization)を行います。裂蹄を起こした蹄壁の固定法としては、螺子とワイヤー(Screws and wires)を用いた手法、カスガイ(Cramps)を用いた手法、接着剤または螺子によるプレート固定(Plating with glue/screws)等が試みられています。また、蹄壁の安定性を強化させるため、固定部位をさらにアクリル素材(Acrylic material: Equilox®, etc)によって覆う手法が用いられる事もあります。滑液組織への穿孔を伴わない蹄壁裂傷の症例では、蹄部ギプス(Foot cast)による蹄壁の不動化(Hoof wall immobilization)を施します。一般的にギプスは2~3週間維持され、健常な肉芽組織が形成された後には通常の蹄バンテージが用いられ、深部組織の角質化(Keratinization)が確認された後には、アクリル素材によって蹄壁の被覆化が行われる事もあります。蹄関節または深屈腱鞘への穿孔が確認された場合には、滑液嚢の洗浄(Lavage)と抗生物質の注入を行います。

裂蹄の予後は一般に良好ですが(滑液組織への細菌感染を併発した場合を除いて)、比較的に再発(Recurrence)を起こし易い病態であるため、適切な装蹄療法と蹄油使用などによる継続的管理が重要な疾患であると言えます。蹄関節または深屈腱鞘の感染を起こした場合には長期の経過を示し、対側肢の負重性蹄葉炎(Support laminitis)を続発する危険もあり、一般に予後は良くありません。

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