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馬の文献:末節骨骨折(MacLellan et al. 1997)

「屈曲性肢変形症の子馬における末節骨の伸筋突起骨折の螺子固定術」
MacLellan KN, MacDonald DG, Crawford WH. Lag screw fixation of an extensor process fracture in a foal with flexural deformity. Can Vet J. 1997; 38(4): 226-228.

この症例論文では、屈曲性肢変形症(Flexural deformity)を呈した子馬における、末節骨の伸筋突起骨折(Extensor process fracture)の外科的治療のために、螺子固定術(Lag screw fixation)による骨折片の整復が応用された一症例が報告されています。

患馬は、四ヶ月齢のサラブレッドとクライズデールの混血種(Thoroughbred-Clydesdale cross-breed)の子馬で、五日間にわたる左前肢跛行(5-days history of left forelimb lameness)の病歴を示し、初診時にはグレード3の跛行と、ステージ1の遠位指節骨間関節(Distal inter-pharangeal joint)(=蹄関節:Coffin joint)の屈曲性肢変形症(いわゆるクラブフット)の症状が認められました。

この患馬の診断では、遠軸種子骨神経麻酔(Abaxial sesamoidean nerve block)によって、跛行の軽減(Lameness alleviation)が見られたことから、蹄部に疼痛の原因があることが強く示唆され、遠位肢のレントゲン検査(Distal limb radiography)では、非変位性の末節骨伸筋突起骨折(Non-displaced extensor process fracture of distal phalanx)が発見されました。

この患馬の治療では、全身麻酔下(Under general anesthesia)での背臥位(Dorsal recumbency)において、蹄冠(Coronary band)のすぐ近位側に設けられた皮膚切開創(Skin incision)、および総指伸筋腱(Common digital extensor tendon)の正軸切開創(Mid-axial incision)を介しての伸筋突起へのアプローチが選択され、直径3.5mmの踝部用螺子(Malleolar lag screw)を用いての、骨折片の整復が行われました。また、クラブフットの治療のため、遠位支持靭帯切断術(Distal check ligament desmotomy)と、蹄尖伸長蹄鉄(Toe-extended shoe)の装着も併行して実施されました。

この患馬は、術後の一週間目には、蹄繋軸(Hoof-pastern axis)がより正常に近い角度まで矯正されていることが確認され、術後の七週間目では、跛行の再発は認められず、骨折部位の良好な治癒が達成されたことが示唆されました。そして、術後の二年目の稟告では、全ての歩様において異常は見られず、変性関節疾患(Degenerative joint disease)の続発も起きていなかったことが報告されています。

馬の末節骨の伸筋突起骨折では、関節鏡手術(Arthroscopy)や関節切開術(Arthrotomy)を介して、骨折片の外科的除去が選択される場合が多く、骨折部位の螺子固定術の応用はあまり一般的ではありません。しかし、骨折片のサイズが大きく、変性関節疾患を発現していない症例においては、骨折片の外科的整復によって、より正常な蹄関節の形状を維持する指針が有効であると提唱されています。この際には、関節鏡を介して関節面の平坦化(Smoothing joint surface)が達成されていることを視認して、蹄関節の変性関節疾患(いわゆる低繋骨瘤:Low ringbone)を続発する危険がないことを確かめることが重要であると考えられています。

子馬の症例における、伸筋突起骨折とクラブフットとの因果関係は科学的には証明されていませんが、蹄関節の屈曲性肢変形症に伴って、総指伸筋腱から伸筋突起に掛かる緊張度が増加して、伸筋突起の剥離骨折(Avulsion fracture)に至る可能性もある、という仮説がなされています。このため、伸筋突起骨折の外科的整復に際しては、支持靭帯切断術や装蹄療法を併用し、クラブフットによる蹄繋軸の矯正に努めることで、伸筋突起に作用する牽引力を減退させて、螺子固定部位の破損(Lag screw failure)を予防したり、骨折箇所の微小運動を中和(Neutralizing micro-motion)する処置が有効であると考察されています。

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