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馬の文献:蟻洞(O’Grady. 2006)

「白線病の治療の仕方」
O’Grady SE. How to manage white line disease. Proc AAEP. 2006; 52: 520-525.

この指導論文では、馬の白線病(White line disease)に起因する蟻洞(Hoof wall separation)の治療方法が解説されています。

馬の白線病および蟻洞の治療では、離断した蹄壁を切除して、蟻洞が正常箇所へと広がらないようにする事で重要で(剥がれた蹄壁が元通りにくっつく事はないため)、蹄壁と蹄葉組織の堅固な結合が認められる領域まで、周辺蹄壁の完全な切除(Complete resection of surrounding hoof wall)および病巣清掃術(Debridement)を行います。蹄壁を切除する前には、洗浄&消毒剤(Methiolate, Gention violet, 2%-Iodine, etc)によって汚染箇所を綺麗にするだけでなく、異常組織が染色されるため完全な切除が達成されたことが、容易に確認できるという利点があります。しかし、これらの薬剤は週に二回以上は実施するべきではない、という警鐘が鳴らされています。また、白線病および蟻洞の症例においては、罹患しているのは角化(Keratinized tissue)している組織のみであるため、全身性の内科療法(Systemic medical therapy)は必要でないと考えられています。

馬の白線病および蟻洞の治療において、蹄壁切除の後には、適切な装蹄療法(Therapeutic shoeing)によって、切除されて弱くなった蹄壁を保護したり、蹄底部での過重を促す処置を施します。蹄壁切除の範囲が狭い場合には、数箇所の釘穴を避けるだけで、通常の蹄鉄が装着できることが一般的ですが、蟻洞は蹄尖部に好発することから、蹄尖短縮(Toe shoetening)を施して蹄反回(Break-over)の際に掛かる剪断力(Shear force)を最小限に抑える手法が有用です。一方、広範囲にわたる蹄壁が切除(Extensive resection)された場合、特に33%以上の蹄負面(Solar surface area)が失われた症例においては、エッグバー蹄鉄やハートバー蹄鉄の装着によって、蹄底および蹄叉への過重(Weight bearing on sole/frog)を促進して、罹患箇所への負荷を軽減する手法が推奨されています。また、釘を打つのに十分な蹄壁が残存していない場合には、接着剤を用いてのグルーオン蹄鉄の使用も有効です。

馬の白線病および蟻洞の治療では、欠損箇所がポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate)やアクリル樹脂(Acrylic resin)などの充填材で被覆されることもありますが、充填材の深部で細菌&真菌増殖(Bacterial/Fungal proliferation)が起こり、蹄壁成長(Hoof wall ingrowth)を妨げたり、周囲の蹄壁組織へと病巣が拡大する場合もあります。また、抗生物質が含有された充填材(Antibiotic-impregnated filling material)が応用された場合でも、全ての病原菌に効能を示すわけではありません。このため、蹄壁欠損箇所の被覆は、罹患部位の汚染解消と角化が起こり、馬主や管理者が継続的な病巣処置ができない症例にのみ選択されるべきである、という提唱がなされています。(この論文では、欠損部の蹄壁を充填材で被覆することで、早期に運動復帰できるという利点については考察されていません)

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