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馬の文献:舟状骨症候群(Turner et al. 1989)

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「アイソクスプリンによるナビキュラー病の治療評価:二重盲検調査」
Turner AS, Tucker CM. The evaluation of isoxsuprine hydrochloride for the treatment of navicular disease: a double blind study. Equine Vet J. 1989; 21(5): 338-341.

この研究論文では、馬のナビキュラー病(Navicular disease)に対する有効な内科的療法を検討するため、掌側指神経麻酔(Palmar digital nerve block)での跛行改善(Lameness improvement)、および、レントゲン検査(Radiography)によってフラスコ状やロリポップ状病変(Flasking or lollipop lesions)を呈した脈管溝増加(Increased vascular channels)の異常所見によって、ナビキュラー病の推定診断(Presumptive diagnosis)が下された28頭の患馬のうち、六頭には偽薬(Placebo)の投与(対照郡)、残りの22頭には三種類の異なった濃度のアイソクスプリンの投与を行い(治療郡)、三週間にわたる跛行や疼痛症状の盲目的な点数化評価(Blinded grading)が行われました。

結果としては、対照郡の六頭では、ナビキュラー病の平均グレードが、治療前の19.5(範囲:17~23)から、三週間目には18.5(範囲:11~23)と有意には変化していなかったのに対して、治療郡の22頭では、治療前の19.5~23(範囲:16~24)から、三週間目には12~17(範囲:5~23)と有意に低下していました。このうち、三種類のアイソクスプリン濃度郡のあいだには、治療効果の有意差は認められませんでした。このため、ナビキュラー病の罹患馬に対しては、アイソクスプリン投与によって、跛行および疼痛症状の改善効果が期待できることが示唆されました。

この研究におけるナビキュラー病のグレードでは、速歩での跛行(グレード1~3)、蹄鉗子(Hoof tester)への反応(グレード1~4)、遠位肢の屈曲試験(グレード1~5)、調馬索運動から五分間にわたる跛行の減退度(グレード1~7)、調馬索運動後の遠位肢の屈曲試験(グレード1~5)、などが含まれました。そして、治療開始前のナビキュラー病のグレードは、対照郡と治療郡のあいだで有意差は無く、患馬の年齢や病歴の長さにも有意差はありませんでした。この研究で用いられたものと同様なナビキュラー病の点数化システムは、他の文献において(MacGregor et al. EVJ. 1986;18:203)、剖検(Necropsy)での病態の重篤度と有意に相関することが報告されています(相関係数:0.84)。

一般的に、馬のナビキュラー病には様々な病因論(Etiology)があり、そのひとつとして、蹄踵部の血行障害(Impaired blood circulation)によって舟状骨の骨吸収および骨形成過程(Bone resorption/formation processes)に異常を呈するという、脈管性病因論(Vascular etiology)が提唱されています。そして、ベータ受容体作動薬(Beta receptor agonist)であるアイソクスプリンは、カルシウムチャンネルを賦活化(Calcium channel activation)することで平滑筋弛緩(Smooth muscle relaxation)を誘導して、末梢血管拡張(Peripheral vasodilator)の効果が期待されることから、脈管性病因に由来するナビキュラー病への治療効果が期待できると仮説されています。

この研究では、治療法が無作為に選択(Random selection)され、偽薬投与による対照郡との比較が行われ、また、臨床症状の変化が二重盲検評価(Double-blinded evaluation)されている点で、アイソクスプリンの治療効果を客観的に試験(Objective assessment)する研究デザインとなっています。しかし、脈管性病因に由来するナビキュラー病を選抜する手段として、レントゲン検査による脈管溝病変のみが用いられており、蹄部静脈造影法(Digital venogram)などは応用されていません。このため、この研究に用いられた患馬が、本当に蹄踵部の血行障害を有していたのか、もしくは、アイソクスプリンの投与によって血行障害が改善したのか否かは、詳細には評価されていません。

他の文献では、馬へのアイソクスプリンの投与によって、多量の発汗(Profuse sweating)、頻脈(Tachycardia)、筋肉振戦(Muscle tremors)、行動の変化(Behavior change)、手術切開創からの浸出液の増量(Increased incisional discharge)などが報告されています。この研究における治療郡の馬では、馬主からの聞き取り調査によって、いかなる副作用の発現も認められていませんでしたが、各症例の血液検査や血圧測定などは行われていませんでした。

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