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馬の病気:食道穿孔

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食道穿孔(Esophageal perforation)について。

馬における食道穿孔は、主に頚部食道(Cervical esophagus)に見られ、頚部外傷(Cervical trauma)、食道憩室の破裂(Rupture of esophageal diverticulum)、異物の嚥下(Swallowing foreign body)などによって発症しますが、胃カテーテルの挿入時に医原性穿孔(Iatrogenic perforation)を起こす場合もあります。

食道穿孔の症状としては、頚部の軟部組織腫脹(Soft tissue swelling on neck region)、流唾(Ptyalism)、水や摂食物の逆流(Water and food regurgitation)などが見られ、穿孔部位からの唾液および摂食物の排出(Drainage of saliva and food material)に起因して、広範囲の周囲組織壊死(Extensive surrounding tissue necrosis)、皮下気腫(Emphysema)、蜂窩織炎(Cellulitis)等を呈します。また、閉鎖性食道穿孔(Closed perforation)においては、筋膜面に沿って浸出物が波及して(Drainage migration via fascial plane)、縦隔(Mediastinum)および胸膜腔(Pleural space)の感染を併発する症例もあります。この場合、縦隔気腫(Pneumomediastinum)および気胸(Pneumothorax)などの致死的合併症(Fatal complications)に至る症例もあり、縦隔内に及び食道穿孔では、急性全身性炎症反応症候群(Acute systemic inflammatory response syndrome)の症状を呈することから、疝痛(Colic)と誤診される事もあります。

食道穿孔の診断は、通常は視診と触診で下されますが、閉鎖性病態では内視鏡検査(Endoscopy)、超音波検査(Ultrasonography)、造影レントゲン検査(Contrast radiography)等によって、穿孔部位の確認と組織感染の浸潤度を確かめる必要がある場合もあります。

食道穿孔の治療では、閉鎖性の食道穿孔の場合には開放性に移行させ(Conversion to opened perforation)、広範囲にわたる病巣清掃(Extensive debridement)、羅患組織の洗浄(Lavage of affected tissue)、広域抗生物質の全身投与(Systemic administration of broad-spectrum antibiotics)、破傷風免疫(Tetanus prophylaxis)が実施され、創傷部位から挿入した胃カテーテルを介して補液や給餌を行うことで、穿孔部の二次性治癒(Secondary healing)を促します。穿孔箇所の堅固な縫合閉鎖(Secure closure)が可能であるのは、発症12時間以内の急性病態の症例のみである事が知られています。また、穿孔部位の治癒を促すために、穿孔部位よりも遠位側(より胃に近い側)に施した食道切開術(Esophagotomy)から胃カテーテルを挿入して、補液や給餌を行う指針が選択される場合もあります。食道穿孔を起こした多くの症例においては、唾液損失(Salivary loss)による低ナトリウム血症(Hyponatremia)、低クロール血症(Hypochloremia)、一過性の代謝性アシドーシス(Transient metabolic acidosis)(=長期間にわたる重炭酸損失に起因する)、その後の進行性の代謝性アルカローシス(Progressive metabolic alkalosis)を呈するため、補液療法(Fluid therapy)による電解質補給(Electrolyte supplementation)と酸塩基不均衡(Acid-base imbalance)の改善を行うことも重要です。

食道穿孔の二次性治癒には長期間を要し、重篤な蜂窩織炎、壊死、ショックを続発して、予後不良(Poor prognosis)を呈する症例も多いことが報告されています。また、周囲組織の損傷度によっては、牽引性の食道憩室(Traction diverticulum)、食道狭窄症(Esophageal stricture)、ホーナー症候群(Horner’s syndrome)、喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplegia)などの合併症を起こす場合もあります。

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