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馬の文献:蹄葉炎(Kuwano et al. 2002)

「馬の蹄葉炎における異所性白線発生の肉眼的および病理組織学的調査」
Kuwano A, Katayama Y, Kasashima Y, Okada K, Reilly JD. A gross and histopathological study of an ectopic white line development in equine laminitis. J Vet Med Sci. 2002; 64(10): 893-900.

この研究論文では、馬の蹄葉炎(Laminitis)に見られるラメラーウェッジ(Lamellar wedge)の発生病態(Pathological development)を解明するため、慢性蹄葉炎(Chronic laminitis)の罹患蹄の肉眼的および病理組織学的調査(Gross and histopathological study)が行われました。

結果としては、矢状断切片(Sagittal section)における異常角質(Abnormal horn)は、蹄葉炎の発症から二十日以内に認められ、病理組織学的調査では、この異常角質の形態的特徴(Structural characteristics)は白線組織(White line tissue)に類似しており、異所性白線発生(Ectopic white line development)によって生じたものと考えられました。また、蹄葉炎の罹患蹄における、蹄骨面積(Distal phalanx area)に対する異常角質の面積の割合は、健常蹄の八倍に及んでいました。このため、この異所性白線発生によって形成されたラメラーウェッジは、正常な蹄壁成長を抑制(Inhibition of normal hoof wall growth)すると予測され、発症から一ヶ月前後の適切時期(Optimal timing)に切除することが重要であると考えられました。

一般的に、馬の蹄葉炎においては、蹄葉真皮と蹄葉表皮の裂離(Separation of laminar epidermis from laminar dermis)が、蹄葉炎の原発病的実体(Primary morbid entity)であることが知られており(Pollitt et al. EVJ. 1996;28:38, Johnson et al. Vet Rec. 1998;11:392)、初期病態(First stage)におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ (Matrix metalloproteinase: MMP)による、基底膜(Basement membrane)の四型&七型コラーゲン(Type-IV/VII collagen)およびラミニンの分解によって生じると考えられています(Pollitt et al. EVJ Suppl. 1998;26:139)。一方で、蹄葉炎の慢性期には、蹄葉境界部(Laminar interface)における重度増殖(Marked proliferation)によって、蹄壁の深部に異常角質が形成されることが報告されています(Kameya et al. Jpn J Vet Sci. 1980;42:361, Morgan et al. Vet Clin North Am Eq Pract. 1999;15:395)。

この研究では、蹄葉炎の発症から十日以内では、蹄壁と蹄葉真皮のあいだに線状間隙(Linear gap)が生じるのみですが、十日目以降では蹄表皮増殖(Hoof laminar proliferation)が見られ、蹄葉炎組織内のケラチン産生細胞(Laminitic keratinocyte)による再生性蹄葉表皮(Regenerative laminar epidermis)の形成には十日以上を要することが示唆されました。そして、この蹄表皮増殖は、蹄骨回転(Distal phalanx rotation)に併行して頭尾側方向へ伸長(Cranio-caudal elongation)して、発症から20~30日目にピークを迎えることが示されました。

一般的に、蹄葉炎の罹患蹄では、蹄壁の変形(Dis-conformation of hoof wall)を予防するために、ラメラーウェッジの切除が重要である事が提唱されており(Curtis et al. Vet Clin North Am Eq Pract. 1999;15:463)、今回の研究のデータから、このラメラーウェッジ切除の時期は、発症から少なくとも一ヶ月後であることが示されました。そして、今後の研究では、ラメラーウェッジの削切時期によって、異常角質の再増殖(Re-proliferation)にどのような違いが生じるのかを詳しく検討する必要がある、という考察がなされています。

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