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馬の病気:大結腸右背方変位

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大結腸右背方変位(Large colon right dorsal displacement)について。

大結腸が盲腸と右腹壁の間に迷入(Large colon migration between cecum and right abdominal wall)を起こす疾患で、骨盤曲(Pelvic flexure)の移動方向によって、時計回り変位(Clockwise displacement)および反時計回り変位(Counterclockwise displacement)という病態の表現法が用いられる場合もあります(反時計回り変位の方が一般的)。大結腸右背方変位は、骨盤曲の後退性移動(Retropulsive movement)に起因する特発性疾患(Idiopathic disorder)であることが示唆されており、飼料の急激な変更(Rapid feeding change)、腸蠕動異常(Interstinal motility anomaly)、ガス停滞(Gas accumulation)などが素因として挙げられています。

大結腸右背方変位の症状としては、初期病態では間欠性の軽度疝痛(Intermittent mild colic)を呈するのみですが、骨盤曲の迷入が進行するのに伴って、腸内容物の流動が妨げられて大結腸便秘(Large colon impaction)を続発し、中程度~重度の疝痛(Moderate to severe colic)、排糞停滞(Reduced fecal output)、頻脈(Tachycardia)、頻呼吸(Tachypnea)等が認められます。

大結腸右背方変位の診断においては、直腸検査(Rectal examination)では、大結腸の膨満(Large colon distension)、結腸が腹腔内の頭右側方向へ走行している所見(Colon traveling right-cranial direction)、盲腸の尾側変位(Caudal displacement of cecum)、骨盤曲が触知できない所見などで、非変位性の大結腸便秘(Non-strangulating large colon impaction)との鑑別を行います。変位した大結腸による圧迫から十二指腸の部分的通過障害(Partial obstruction of duodenum)を引き起こした症例では、血液検査による肝酵素濃度の上昇(Increased liver enzymes)が見られることもあり、また、腹腔超音波検査(Abdominal ultrasonography)によって、肝臓右葉の内方変位(Medial displacement of right liver lobe)や腸間膜静脈の拡張(Mesenteric vein distension)が示される場合もあります。重度の大結腸膨満を起こした症例では、経鼻カテーテルによる胃逆流液(Nasogastric reflux)の排出が認められる場合もありますが、腹水検査(Abdominocentesis)での異常は顕著ではありません。

大結腸右背方変位の治療では、疝痛が軽度~中程度の場合には、まず内科療法が試みられ、補液療法(Fluid therapy)による再水和(Rehydration)と電解質不均衡(Electrolyte imbalance)の改善、非ステロイド性抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)の投与などが実施され、口籠装着(Muzzling)による摂食制限(Withholding feed)も行われます。しかし、鎮静剤(Sedation)の投与によっても制御困難な重度の疼痛症状を示した症例に対しては、緊急の外科治療が必要で、起立位での膁部切開術(Standing flank laparotomy)もしくは全身麻酔下(Under general anesthesia)における正中開腹術(Midline celiotomy)によって、変位した大結腸の外科的整復(Surgical correction)が行われ、骨盤曲を切開しての腸内容物の排出が併せて実施される事もあります。

一般的に、大結腸右背方変位の予後は非常に良い(Excellent prognosis)ことが殆どで、変位の再発(Recurrence)が起こるケースは稀です(起こった場合には、術後の48時間が多い)。また、手術の際に、大結腸の内容物を全て排出せず、敢えて少量だけ残しておくことで、大結腸が重みで移動しにくくなり、右背方変位の再発を予防できるという知見もあります。

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