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馬の文献:砂疝(Specht et al. 1988)

「馬科動物における砂疝の外科的治療:1978~1985年の48症例」
Specht TE, Colahan PT. Surgical treatment of sand colic in equids: 48 cases (1978-1985). J Am Vet Med Assoc. 1988; 193(12): 1560-1564.

この症例論文では、馬科動物(Equids)の砂疝(Sand enteropathy)における外科的療法の治療効果を評価するため、1978~1985年における48頭の砂疝の罹患馬およびポニーの医療記録(Medical record)の解析が行われました。この研究では、開腹術(Celiotomy)によるアプローチ後、骨盤曲結腸切開術(Pelvic flexure colotomy)を介して、大結腸内に貯留している砂(Sand accumulation)の洗浄および除去が行われました。

結果としては、砂疝の罹患馬の短期生存率(Short-term survival rate)は92%(44/48頭)で、術中および麻酔覚醒中に安楽死(Euthanasia)が選択されたのはそれぞれ一頭ずつのみでした。また、術後合併症(Post-operative complications)としては、35%の症例では下痢(Diarrhea)、7%の症例では感染性腹膜炎(Septic peritonitis)、4%の症例では術創ヘルニア(Incisional hernia)が認められました。このことから、馬科動物の砂疝では、外科的治療によって、重篤な合併症を起こすことなく、比較的に良好な予後が期待できることが示唆されました。

この研究では、96%の砂疝の罹患馬において、大結腸便秘(Large colon impaction)の併発が認められ、便秘の単一発症部位としては骨盤曲(Pelvic flexure)が最も頻繁に見られました。このため外科的治療に際しては、骨盤曲結腸切開を介して砂および腸内容物を除去する術式(Sand/Ingesta lavage)が応用されましたが、この手法では骨盤曲以外に貯留した砂を洗い流すのは必ずしも容易ではなく、結腸全域の洗浄に長時間を要する症例もあると推測されています。しかし、砂疝の外科療法に際しては、腹腔汚染(Abdominal contamination)の危険を最小限に抑えるため、大結腸の他の部位を切開する手法は推奨されておらず、右背側大結腸(Right dorsal colon)や小結腸(Small colon)に多量の砂が貯留している場合には、直腸からホースを進展させることによる逆流性洗浄法(Retrograde flushing)も可能であると考察されています。

この研究では、六頭の砂疝の罹患馬において、偶発的に腸穿刺術(Enterocentesis)が行われましたが、採取された腸内容液中に砂が認められたのは三頭のみでした。腸穿刺術では、結腸内の砂の存在を直接的に確認できるものの、その貯留量を推測することは困難で、また、腸内容物の漏出によって腹膜炎を続発する危険が高いことから、その実施は推奨されていません。一方、砂疝の罹患馬における腹水検査(Abdominocentesis)では、42%の罹患馬において蛋白濃度の上昇(>2.5g/dl)が認められましたが、白血球数の増加(>10000WBC/ul)が見られたのは5%の罹患馬のみでした。一般的に、偶発的な腸穿刺が起こってしまった場合には、その後に腹水性状の異常を生じることから、経時的な腹水検体の採取(Sequential abdominal fluid collection)による腸壁病態のモニタリングは信頼性が低くなると考察されています。

この研究では、54%の砂疝の罹患馬において、大結腸変位または捻転(Large colon displacement/volvulus)が認められ、捻転の発症部位としては右背側&右腹側大結腸(Right dorsal/ventral colon)が最も頻繁に見られました。これは、停滞した砂の重み、または続発して起こる大結腸便秘にともなうガス停滞(Gas accumulation)によって、腸管の特定部位が相対的に軽くなって、大結腸の後屈(Retroflexion)および捻じれ(Torsion)につながるためと推測されており、特に砂の貯留が一箇所に生じた症例のほうが、複数個所に生じた症例よりも、大結腸の変位や捻転を引き起こしやすいという考察がなされています。

この研究では、砂疝の罹患馬における直腸検査(Rectal examination)では、87%の罹患馬において大結腸膨満(Large colon distension)が認められましたが、大結腸便秘そのものが触知されたのは15%の罹患馬のみでした。このため、内科的治療に不応性(Refractory)を示す疝痛馬では、直腸検査は必ずしも大結腸便秘を早期発見できる診断法ではない可能性を考慮して、探索的開腹術(Exploratory celiotomy)のタイミングが遅延しないよう注意することが重要であると考察されています。

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