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馬の文献:有茎性脂肪腫(Prange et al. 2010)

「43頭の馬における下行結腸の切除吻合術」
Prange T, Holcombe SJ, Brown JA, Dechant JE, Fubini SL, Embertson RM, Peroni J, Rakestraw PC, Hauptman JG. Resection and anastomosis of the descending colon in 43 horses. Vet Surg. 2010 ;39(6): 748-753.

この症例論文では、小結腸(Small colon)(=下行結腸:Descending colon)の疾患に対する外科的療法の治療効果を評価するため、1995~2009年にかけて、小結腸の切除術および吻合術(Resection and anastomosis)が応用された43頭の患馬の、医療記録(Medical records)の解析が行われました。この論文の症例としては、有茎性脂肪腫(Pedunculated lipoma)が27頭と最も多く、次いで、出産による外傷(Post-foaling trauma)、便秘による通過障害(Obstruction)などが含まれました。

結果としては、43頭の患馬のうち、退院を果たしたのは36頭で(短期生存率:84%)、経過追跡(Follow-up)ができた30頭のうち、術後の六ヶ月以上にわたって生存したのは28頭(長期生存率:93%)であったことが報告されています。このため、馬の小結腸疾患(特に有茎性脂肪腫)に対しては、小結腸の切除術および吻合術によって、良好な予後が期待できることが示唆されました。しかし、サンプル数が少ないため、切除および吻合術を要した原因疾患のタイプや重篤度、および手術までの経過時間などが、予後に影響するかどうかは明瞭には評価されていません。

この論文では、生存馬と非生存馬のあいだに、心拍数(Heart rate)、PCV値、白血球数、血中蛋白濃度(Total protein concentration)、腹水(Abdominal fluid)の蛋白濃度などの、術前所見の有意差は認められず、また、手術時間、摘出された小腸の長さ、手術から最初の排糞(Defecation)までの時間などの、術中&術後所見の有意差も見られませんでした。このため、この論文では、予後判定(Prognostication)に有用な指標は特定されていませんが、今後の論文では、より症例数を増やして、このデータの検証(Validation)を行う必要があるかもしれません。他の文献では、小腸の切除&吻合術において、術前の心拍数、PCV値、血清蛋白濃度などの高さが、予後の悪さに相関するというデータが示されています(Mair et al. EVJ. 2005;37:296, Morton et al. EVJ. 2002;34:450, Proudman et al. EVJ. 2005;37:360)。

この論文では、七頭の患馬が術後合併症(Post-operative complication)によって退院前に安楽死(Euthanasia)となっており、その原因としては、腹膜炎(Peritonitis)、内毒素血症(Endotoxemia)、腸閉塞(Ileus)などが含まれました。一般的に、小結腸の切除および吻合術では、術野を腹腔外に完全に引き出して施術するのは困難な場合があり、腹腔汚染(Abdominal contamination)を生じ易いことが知られており、これが、腹膜炎や内毒素血症などの合併症を続発した要因である可能性が高い、と考えられました。

この論文では、五頭の症例において、術後に小結腸便秘(Small colon impaction)の続発が見られました。この合併症の予防のためには、骨盤曲切開術(Pelvic flexure enterotomy)と大結腸内容物の排出(Large colon evacuation)を行うことや、手術の直後には給餌しないこと、術後に経腸補液(Enteral fluid therapy)や下剤投与(Laxatives administration)を行うこと、などが挙げられていますが、この五頭のうち四頭では、骨盤曲切開術が実施されていたことが報告されています。

この論文では、70%の症例において、術後に下痢症(Diarrhea)の続発が見られ、この合併症は、小結腸の切除&吻合術のみならず、大結腸の切除&吻合術においても、比較的に頻繁に見られることが知られています。また、小結腸が切除された患馬では、サルモネラ症(Salmonellosis)を続発する危険性が高い、という知見もあります。

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