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馬の病気:NSAID下痢症

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非ステロイド系抗炎症剤誘発性の下痢症(Non-steroidal anti-inflammatory drugs [NSAID]-induced diarrhea)について。

非ステロイド系抗炎症剤(フェニルブタゾン、フルニキシン・メグルミン、ケトプロフェン)は、COX-1抑制を介して、粘膜治癒の促進物質であるプロスタグランディンEを拮抗する副作用があるため、過度のNSAID投与によって、右背方大結腸炎(Right dorsal colitis)、広範囲な消化管の潰瘍(Extensive alimentary ulceration)、腎乳頭壊死症(Renal papillary necrosis)などを引き起こします。NSAIDの毒性発現は個体差が大きく、推奨される投与量を用いても症状を発現する馬もあり、また、NSAID投与の中止後、かなり長期間を経てから症状発現にいたる場合もあります。毒性の少ないCOX-2特異性抑制薬(COX-2 selective inhibitor)の使用によって、潰瘍や大腸炎の予防が期待できると考えられていますが、COX-1抑制薬に比べて抗炎症および鎮痛作用(Anti-inflammatory and analgesic effects)は低い可能性が示唆されています。

NSAID下痢症の臨床症状としては、下痢(Diarrhea)、食欲不振(Anorexia)、発熱(Fever)、抑欝(Depression)、末梢性浮腫(Peripheral edema)、軽度の疝痛症状(Mild colic)などが見られ、口腔潰瘍(Oral ulceration)を呈した症例では咀嚼困難(Difficulty in mastication)、食道潰瘍(Esophageal ulceration)を呈した症例では唾液分泌過多(Ptyalism)や嚥下痛(Odynophagia)が認められる場合もあります。また、病態の進行に伴って内毒素血症(Endotoxemia)を続発すると、頻脈(Tachycardia)、頻呼吸(Tachypnea)、毛細血管再充満時間の遅延(Prolonged capillary refilling time)等を呈します。

NSAID下痢症の診断においては、血液検査では、低蛋白血症(Hypoproteinemia)、低グロブリン血症(Hypoglobulinemia)、好中球減少症(Neutropenia)、好中球核の左方移動(Left shift)などが見られ、腸管からの蛋白結合カルシウムの損失(Intestinal loss of protein-bound calcium)を生じた症例では、低カルシウム血症(Hypocalcemia)を示す場合もあります。また、腎不全の併発に起因して、尿比重の低下(Decreased urine specific gravity)や腎性高窒素血症(Renal azotemia)を呈する症例もあり、内視鏡検査(Endoscopy)では、胃潰瘍(Gastric ulceration)や十二指腸潰瘍(Duodenal ulceration)の確認が可能です。腹腔超音波検査(Abdominal ultrasonography)では、右背方大結腸炎に起因する結腸壁肥厚化(Thickened colonic wall)が認められ、また、腎不全に起因する罹患側腎臓の高エコー性(Hyperechogenicity)が見られる事もあります。

NSAID下痢症の治療では、直ちにNSAID投与を中止して、補液療法(Fluid therapy)による再水和(Rehydration)と電解質不均衡(Electrolyte imbalance)の改善、高免疫血漿(Hyperimmune plasma)やヒドロキシエチル澱粉溶液(Hydroxyethyl starch)などの晶質液投与(Colloid administration)による低蛋白血症の補正、メトロニダゾール投与による潰瘍治癒の補助、プロスタグランディンE類似体(PGE analogs)による大腸粘膜治癒の促進などを実施します。右背方大結腸炎の罹患馬に対しては、大腸運動負荷を抑えるため、繊維質を減らし(全量の三割)、穀物やペレット食を一日4~6回給餌する食餌管理法(Dietary management)が推奨されており、サイリウム(Psyllium mucilloid)の飼料添加によって罹患部結腸の治癒促進が期待できることが示されています。また、急性病態においては、経鼻カテーテルを介しての胃洗浄(Gastric lavage)とミネラルオイルの投与が有効な場合もあります。

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