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馬の文献:内毒素血症(Barton et al. 2004)

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「ポリミキシンBは内毒素血症の馬の保護作用がある」
Barton MH, Parviainen A, Norton N. Polymyxin B protects horses against induced endotoxaemia in vivo. Equine Vet J. 2004; 36(5): 397-401.

この研究論文では、馬の内毒素血症(Endotoxemia)に対するポリミキシンB(Polymyxin B)の治療効果を評価するため、24頭の実験馬において、リポ多糖類(Lipopolysaccharide)の投与によって実験的な内毒素血症状態(Experimental endotoxic condition)を作り出し、その30分前または30分後にポリミキシンBの投与を行い、その後の臨床所見のモニタリング、血中のトロンボキサン(Thromboxane B2: TxB2)と腫瘍壊死因子(Tumor necrosis factor: TNF)の活性測定、および尿中のGGT(Gamma glutamyltranspeptidase)とクレアチニンの活性測定が行われました。

結果としては、リポ多糖類投与の30分前および30分後にポリミキシンB投与が行われたいずれの馬においても、対照郡(Control group)の馬に比較して、有意に低い体温や呼吸数、有意に低いTxB2およびTNFの活性が認められました。このため、内毒素血症に罹患した馬に対しては、ポリミキシンB投与によって、良好な抗炎症効果(Anti-inflammatory effect)が期待できることが示唆されました。

この研究では、リポ多糖類投与の30分前にポリミキシンB投与が行われた馬のほうが、30分後にポリミキシンB投与が行われた馬に比べて、より良好な発熱(Fever)や頻呼吸(Tachypnea)の改善効果、および血中のTxB2やTNF活性の抑制作用が確認されました。このため、内毒素血症馬の治療に際しては、リポ多糖類が全身循環に回る前にポリミキシンBが投与された場合のほうが、より高い抗炎症作用が期待できることが示唆されました。

一般的に、高濃度のポリミキシンBはグラム陰性菌(Gram-negative)に対する抗菌作用を有し、低濃度のポリミキシンBはリポ多糖類の中和作用(Neutralizing effect of LPS)を介しての、内毒素誘導性炎症の抑制効果(Inhibition of endotoxin-induced inflammation)が期待されますが、トール受容体に結合してしまった内毒素を中和することは出来ないため、内毒素血症の発現が疑われる馬に対しては、できるだけ早期にポリミキシンBを投与することが重要であると仮説されています。

この研究では、リポ多糖類投与の前後のいずれにポリミキシンBが投与された場合においても、その効能は認められるものの、内毒素が体内に回る時点で既にポリミキシンBが作用されていた場合のほうが、より良好な抗炎症作用が発揮されることを裏付けるデータが示されました。このため、臨床症例においては、全身性抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)の実施や、虚血状態の腸管の外科的整復(Surgical correction of ischemic intestines)など、多量のリポ多糖類が血中に循環されると予測される場合には、その直前にポリミキシンBの予防的投与(Prophylactic administration)を行う治療指針が、最も有効であると考察されています。

この研究では、ポリミキシンB投与が行われた馬では、対照郡の馬に比較して、尿中のGGTおよびクレアチニン活性には有意差は認められず、ポリミキシンB投与において常に考慮される腎毒性(Nephrotoxicity)の発現は確認されませんでした。しかし、実際の疝痛症例の治療においてポリミキシンBの投与が選択される場合には、全身症状の悪化や脱水の併発に起因して、腎毒性を起こし易い症例もありうるため、十分な補液療法(Fluid therapy)の併用、および慎重なモニタリングを実施して、ポリミキシンB投与にともなう副作用の危険性を、最小限に抑えることが重要であると考察されています。

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