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馬の文献:内毒素血症(Barton et al. 1997)

「内毒素暴露された馬に対するペントキシフィリン点滴の治療効果」
Barton MH, Moore JN, Norton N. Effects of pentoxifylline infusion on response of horses to in vivo challenge exposure with endotoxin. Am J Vet Res. 1997; 58(11): 1300-1307.

この研究論文では、馬の内毒素血症(Endotoxemia)に対する、ペントキシフィリン点滴(Pentoxifylline infusion)の治療効果を評価するため、24頭の実験馬において、ペントキシフィリンの点滴投与後に、リポ多糖類(Lipopolysaccharide: LPS)の投与によって実験的な内毒素血症状態(Experimental endotoxic condition)を作り出し、その後の臨床所見および血液所見(白血球数、フィブリノーゲン値、TX-B2、6-keto-PGF-alpha、Plasminogen activator inhibitor、TNF、IL-6、etc)のモニタリングが行われました。

結果としては、ペントキシフィリン点滴による前処置(Pretreatment)の後に、リポ多糖類の投与が行われた馬では、対照郡(Control group)の馬に比較して、呼吸数と体温が有意に低い値を示しましたが、他の血液所見にはいずれも有意差は認められませんでした。このため、内毒素血症を起こした馬に対しては、ペントキシフィリンの点滴投与による十分な治療効果は期待できないというデータが示されました。

一般的に、内毒素血症の馬に対しては、ペントキシフィリンの投与を介して、末梢性血管拡張(Peripheral vasodilation)と、それに伴う酸素供給(Oxygen delivery)および組織酸素取込(Tissue oxygen uptake)の改善効果が期待されると考えられています。人間の医学文献を見ると、新生児の敗血症(Neonatal sepsis)における生存率の向上(Increased survival rate)が達成されたという報告があり、また、馬の実験的な内毒素血症においても、ペントキシフィリンとバナミンを併用することで、リポ多糖類による内毒素誘導性炎症(Endotoxin-induced inflammation)を、より効果的に抑制するという文献報告もあります(Baskett et al. AJVR. 1997; 58: 1291)。

それにも関わらず、この研究論文において、ペントキシフィリンの点滴投与によって、馬の内毒素血症に対する有意な治療効果が認められなかった原因としては、ペントキシフィリンの血中濃度の不足が挙げられています。一般的に、血管拡張効果を示すのに必要なペントキシフィリンの血中濃度は10mg/mLであると言われていますが、他の馬の文献を見ると、この研究論文で用いられたものと同程度のペントキシフィリン投与量によって誘導された血中濃度は3.5mg/mLに過ぎず(Crisman et al. J Vet Pharmacol Ther. 1993; 16: 23)、また、それよりも多量の投与量が試験された場合を見ても、ペントキシフィリンの血中濃度は9.6mg/mLにとどまりました(Barton et al. J Vet Pharmacol Ther. 1997; 20: 487)。

これらの結果から、いま現在のところ、馬に対するペントキシフィリンの点滴投与では、内毒素血症への直接的な治療作用は期待できないという考察がなされています。しかし、ペントキシフィリン投与による血管拡張作用を介して、蹄葉状組織の循環障害(Circulatory compromise of hoof laminae)を改善できる可能性は示唆されていることから、馬の内毒素血症における重要な合併症(Complications)のひとつである蹄葉炎(Laminitis)を予防する目的で、ペントキシフィリンの点滴投与が選択される症例もあると考えられます。また、ペントキシフィリン単独では、内毒素血症の治療効果は薄いものの、末梢血管拡張薬であるペントキシフィリンと他の抗炎症剤を併用することで、その抗炎症作用を増強または長続きさせるという、相乗的効果(Synergistic effect)は期待できるという仮説もなされています。

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