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馬の文献:食道閉塞(Chiavaccini et al. 2010)

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「食道閉塞を発症した109頭の馬における臨床的特徴と予後指標:1992~2009年」
Chiavaccini L, Hassel DM. Clinical features and prognostic variables in 109 horses with esophageal obstruction (1992-2009). J Vet Intern Med. 2010; 24(5): 1147-1152.

この症例論文では、馬の食道閉塞(Esophageal obstruction)における病態把握と、予後判定に有用な指標(Prognostic variables)を検討するため、1992~2009年にかけて、食道閉塞を発症した109頭の患馬の、医療記録(Medical records)の解析が行われました。

結果としては、109頭の患馬のうち、合併症(Complications)を続発したのは51%(56/109頭)にのぼり、その内訳は、誤嚥性肺炎(Aspiration pneumonia)が39頭と最も多く、次いで、食道狭窄(Esophageal stenosis)、発熱(Fever)、食道憩室(Esophageal diverticula)、食道破裂(Esophageal rupture)、腎不全(Renal failure)、下痢症(Diarrhea)、食道炎(Esophagitis)などとなっていました。そして、これらの合併症に起因して、退院前に安楽死(Euthanasia)となった馬は13頭にのぼり、短期生存率(Short-term survival rate)は88%(96/109頭)にとどまったことが報告されています。このため、馬の食道閉塞では、過半数の馬が何らかの合併症を続発し、予後不良となる危険性が比較的に高いことが示唆されました。

この症例論文では、多因子ロジスティック回帰解析(Multivariate logistic regression analysis)の結果から、患馬の性別や年齢、全身麻酔(General anesthesia)の有無が予後に有意に影響することが示され、合併症を続発する危険性は、牡馬の場合には七倍近く(オッズ比:6.6)、年齢が十五歳以上の場合には六倍以上(オッズ比:6.2)、全身麻酔を要した場合には五倍以上(オッズ比:5.1)も高くなることが示唆されました。このうち、全身麻酔の必要性については、外科的療法を要するほど重篤な食道閉塞では、気管汚染(Tracheal contamination)や食道壁の損傷を引き起こしていた場合が多いためと推測されており、全身麻酔すること自体が合併症の原因にはなったわけではない、という考察がなされています。

この症例論文では、単因子ロジスティック回帰解析(Univariate logistic regression analysis)の結果から、誤嚥性肺炎を続発する可能性は、呼吸数が毎分22回以上であった場合には六倍近く(オッズ比:5.6)、内視鏡検査(Endoscopy)で中程度~重度の気管汚染が認められた場合には六倍以上(オッズ比:6.5)、内視鏡検査で重度の食道病巣(Severe esophageal lesion)が認められた場合には十二倍(オッズ比:12.0)、血漿蛋白濃度が7g/dLであった場合には五倍(オッズ比:5.0)、病気の経過が48時間に及んだ場合には九倍(オッズ比:9.0)も高くなることが示されました。このため、経過が48時間以上に達するような、難治性の食道閉塞を呈した患馬においては、呼吸数、内視鏡所見、血液検査所見などから、肺炎を起こす危険性の高い患馬を予後判定して、十分な全身性抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)などの予防的処置を講じる指針が有効であると考えられました。

この症例論文では、閉塞を起こした食道壁を弛緩させるため、Xylazine、Detomidine、Acepromazine、Butorphanolなどの投与が行われました。しかし、過去の文献では、これらの鎮静剤(Sedatives)が過剰投与されると、嚥下運動の減退、および、食道の蠕動活動(Peristaltic activity)が抑制されて胸腔進入部(Thoracic inlet)を通過するために必要な内圧を掛けられなくなる事から、閉塞部の遊離に対しては有害な作用(Detrimental effect)を及ぼす危険性もある、という警鐘が鳴らされています(Wooldridge et al. AJVR. 2002;63:1738)。一方、Oxytocin投与に関しては、この論文の症例郡の中ではサンプル数が少ないため、その効能は詳細には検討されていませんでしたが、他の文献では、Oxytocinによって食道閉塞の遊離が容易になったという報告がある反面(Meyer et al. EVJ. 2000;32:151)、Oxytocinは食道の平滑筋部位(Smooth muscle portion)にしか作用しないため、有意な効能はあまり期待できないという知見もあります(Wooldridge et al. AJVR. 2002;63:1732)。

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