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馬の病気:網膜剥離

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網膜剥離(Retinal detachment)について。

網膜剥離は、神経感覚網膜(Neurosensory retina)が網膜色素上皮(Retinal pigment epithelium)から剥がれた状態を指し、その病態によって、水疱性網膜剥離(Bullous retinal detachment)、裂孔原性網膜剥離(Rhegmatogenous retinal detachment)、牽引性網膜剥離(Traction retinal detachment)に分類されます。

網膜剥離の病因としては、眼内炎症(Intraocular inflammation)に起因する神経感覚網膜と網膜色素上皮の隙間への液体貯留(Fluid accumulation)(=水疱性網膜剥離)、網膜裂傷(Retinal tear)に起因する硝子体組織から網膜内腔への液体迷入(Fluid migration from vitreous into intraretinal space)(=裂孔原性網膜剥離)、硝子体出血(Vitreal hemorrhage)または硝子体炎(Hyalitis)に起因する硝子体内へ網膜牽引(Retinal traction toward vitreous)(=牽引性網膜剥離)、鈍性外傷(Blunt force trauma)による物理的剥離、等が挙げられています。

網膜剥離の症状としては、部分剥離(Partial detachment)の病態では、ぼんやりした灰色の網膜病変(Hazy grey retinal lesion)が認められるのみで、通常は視覚損失(Vision loss)に至ることはありません。一方、完全剥離(Complete detachment)の病態では、垂れ幕状の網膜組織が硝子体内部へ伸展している所見(Floating veil of retinal tissue extending into vitreous)が認められ、剥離した網膜が裂けて腹側へと垂れ下がった場合には、視診時に視神経部位が確認できなくなる事もあります。また、牽引性網膜剥離を呈した症例では、牽引帯(Traction band)が硝子体内の灰色鎖状組織(Grey strand tissue within vitreous)として示されます。

網膜剥離の診断では、視診、生体顕微鏡検査(Biomicroscopy)、眼底検査(Ophthalmoscopy)などによって、上述のような臨床所見を確認し、また、適切な治療方針の決定のため、正確な病態の鑑別診断(水疱性・裂孔原性・牽引性の網膜剥離)と、馬回帰性ブドウ膜炎(Equine recurrent uveitis)、白内障(Cataracts)、網膜変性(Retinal degeneration)などの併発の有無を確かめることが重要です。また、眼後区域(Ocular posterior segment)の超音波検査(Ultrasonography)によって、網膜の部分または完全剥離を発見および鑑別する手法も有効です。

網膜剥離の治療では、水疱性網膜剥離の罹患眼では、原発疾患である炎症病態(馬回帰性ブドウ膜炎など)の改善によって貯留液体の減退が生じれば、剥離した網膜の再癒合(Re-attachment)が期待できることが示唆されています。眼内炎症に対する内科療法としては、コルチコステロイド、非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)、散瞳薬(Mydriatic agent)、毛様体筋麻痺薬(Cycloplegic agent)等の局所投与(Topical administration)または全身投与(Systemic administration)が行われます。

裂孔原性網膜剥離の罹患眼では、網膜裂傷が初期病態において発見された症例では、網膜裂孔閉鎖術(Retinopexy)によって網膜剥離の進行を止める療法が可能な場合もあります。この際には、眼底鏡(Ophthalmoscope)を介してのレーザー手術によって、裂傷部位の周囲に瘢痕形成(Scar formation surrounding the tear)を施すことで、網膜の剥離領域の拡大を予防する術式が有効です。

牽引性網膜剥離の罹患眼では、経扁平部硝子体切除術(Trans pars plana vitrectomy)によって硝子体内の牽引帯の除去を行い、剥離した網膜の再癒合を促す療法が試みられる場合もあります。しかし、他の眼内疾患の併発が見られた場合には、その原発疾患の病態悪化の危険が高いことから、硝子体切除術の実施は禁忌(Contraindication)とされているため、この手術の応用が可能である網膜剥離の症例はあまり多くありません。

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