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馬の病気:角膜裂傷

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角膜裂傷(Corneal laceration)について。

角膜の創傷性裂傷(Traumatic laceration)は、最も頻繁に起こる馬の角膜疾患で、全層裂傷(Full-thickness laceration)を生じた症例においてはブドウ膜逸脱(Uveal prolapse)や虹彩逸脱(Iris prolapse)を併発する場合もあります。また、細菌・真菌性角膜炎(Bacterial/Fungal keratitis)および角膜実質膿瘍(Stromal abscess)が進行して、前眼房(Anterior chamber)への病巣破裂を起こして、角膜組織の穿孔に至る症例も見られます。

角膜裂傷の症状としては、眼球陥凹(Enophthalmos)、眼瞼痙攣(Blepharospasm)、流涙(Epiphora)、結膜充血(Conjunctiva hyperemia)、角膜浮腫(Corneal edema)等が見られ、全層裂傷の症例においては、虹彩逸脱、前房出血(Hyphema)、前眼房が浅くなっている所見(Shallow anterior chamber)などが認められる事もあります。また、鈍性外傷(Blunt trauma)に起因する角膜裂傷では、虹彩裂傷(Iris tear)、水晶体娩出(Lens expulsion)、網膜剥離(Retinal detachment)等の重篤な眼内損傷(Severe intra-ocular damage)を併発する症例もあります。

角膜裂傷の治療では、損傷が角膜の三分の一以下の深さである極めて軽度の病態を除いて、裂傷部の外科的縫合が必要となります。ブドウ膜逸脱や虹彩逸脱を併発した症例では、発症後三日~四日以内であれば、逸脱した組織を前眼房内に推し戻して角膜縫合するべきであることが示唆されています。この際には、逸脱したブドウ膜組織を過剰に刺激して、術後ブドウ膜炎(Post-operative uveitis)を引き起こしたり、充分な止血を施さずに逸脱した虹彩を切除することで、医原性前房出血(Iatrogenic hyphema)を続発しないように注意することが大切です。

角膜裂傷の外科療法では、一般的に、急性病変(Acute lesion)で周囲の角膜組織が比較的健常であると判断された場合には、単純連続縫合(Simple-continuous suture)による裂傷部の縫合閉鎖が選択されますが、角膜組織の損傷が重度で充分に縫合糸を保持できるか不確定な症例では、単純結節縫合(Simple-interrupted suture)もしくはマットレス縫合による裂傷部の縫合閉鎖が選択されます。角膜縫合に際しては、裂傷辺縁から1~2mmの位置に縫合糸を通過させること、デスモ膜のすぐ前部の深部角膜実質(Deep stromal layer close to Descemet’s membrane)まで縫合糸を到達させること、縫合糸の結び目の端を0.5mm前後残して切ること、等に注意することが重要です。

角膜縫合が完了した後には、前眼房の深さを的確に視診して、術後に虹彩角膜癒着(Iridocorneal adhesion)を起こして緑内障(Glaucoma)を続発しないか否かを慎重に判断します。前眼房の深さが充分でないと考えられる症例に対しては、前房内に生食またはヒアルロン酸溶液を注入して、角膜と虹彩が接触するのを予防する手法が有効です。しかし、前眼房が極めて浅く、注入した溶液が内圧ですぐに虹彩角膜角隙(Iridocorneal angle)から押し出されてしまうと予測される場合には、前房内に空気の泡が注入される場合もあります。

重度の角膜裂傷や長期経過を示した症例などにおいて、角膜組織の浮腫や虚弱化によって縫合糸を堅固に保持することが難しいと判断される場合には、結膜フラップ(Conjunctival flap)によって縫合部位を覆ったり、瞼板縫合術(Tarsorrhaphy)を施すことで眼瞼の開閉性を止めて術野の保護を試みる手法が応用される事もあります。

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