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馬の病気:角膜実質膿瘍

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角膜実質膿瘍(Corneal stromal abscess)について。

角膜の実質層(Stromal layer)に膿瘍形成(Abscess formation)を生じる疾患で、一般に角膜上皮(Corneal epithelium)に起こった微細穿孔(Micropucture)によって細菌または真菌感染(Bacterial/Fungal infection)を生じて、その後に上皮組織治癒によって膿瘍病巣が実質内に隔離されることで発症に至ると考えられています。

角膜実質膿瘍の症状としては、眼瞼痙攣(Blepharospasm)、流涙(Epiphora)、眼球陥入(Enophthalmos)、第三眼瞼突出(Third eyelid protrusion)、角膜浮腫(Corneal edema)、縮瞳(Miosis)などが認められます。また、膿瘍が角膜実質からデスモ膜(Descemet’s membrane)および角膜内皮(Corneal endothelium)を貫通して前眼房(Anterior chamber)に達した場合には、前房蓄膿(Hypopyon)および眼房紅斑(Aqueous flare)が見られます。

角膜実質膿瘍の診断では、視診によって角膜の白色~黄色実質浸潤(White to yellow corneal stromal infiltrate)が見られますが、殆どの症例では、角膜表層の連続性は保たれることから、蛍光染色(Fluorescein stain)が認められることはありません。角膜擦過検体(Corneal scraping sample)の鏡検および細菌培養(Bacterial culture)は通常陰性を示します。

角膜実質膿瘍の治療では、患馬にストレスを掛けることなく、4~8時間おきの頻繁な局所性投与(Topical administration)を確実かつ簡易に実施するため、眼瞼下洗浄システム(Subpalpebral lavage system)を介しての治療が必要とされ、侵襲性が低く薬剤迷入の危険が少ない単孔システム(Single-hole system)が用いられる事が一般的です。角膜実質膿瘍の内科療法では、深部組織への浸潤性の高いChloramohenicol等の局所抗生物質(Topical antibiotics)、局所抗真菌剤(Topical antifungal agents: Natamycin, etc)、散瞳薬(Mydriatic agent)および毛様体筋麻痺薬(Cycloplegic agent)であるAtropineの局所投与(持続性の角膜刺激[Persistent corneal irritation]によって生じる還流性ブドウ膜炎[Reflux uveitis]を予防するため)などが用いられます。また、角膜表面から実質内への薬剤浸潤は充分でない場合も多いため、抗生物質(Trimethoprim-sulfamethoxazole, etc)、抗真菌剤(Itraconazole, etc)、非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs: Flunixin meglumine, etc)などの全身投与(Systemic administration)が併用されます。

内科療法に不応性(Refractory)を示した症例に対しては、外科療法による病変切除が行われます。角膜実質の浅部三分の一に位置している膿瘍(Abscess located in the anterior third of stroma)では、病巣清掃(Debridement)と結膜フラップ(Conjunctival flap)を併用する術式が有効ですが、角膜実質の深部または全層に及ぶ膿瘍(Deep/Full-thickness abscess)では、穿通性角膜形成術(Penetrating keratoplasty)によって病巣切除と角膜組織移植(Cornela tissue graft)が行われます。このうち深部膿瘍に対しては、後方層状角膜形成術(Posterior lamellar keratoplasty)(=角膜中央部)もしくは深部内皮層状角膜形成術(Deep lamellar endothelial keratoplasty)(=角膜周辺部)によって病巣切除と角膜組織移植が行われることもあり、この術式では角膜上皮および前方実質(Anterior stroma)の連続性を保てることから、穿通性角膜形成術よりも術後合併症(Post-operative complication)の危険が少ないことが示唆されています。

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