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馬の病気:ヌカカ過敏症

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ヌカカ過敏症(Culicoides hypersensitivity)について。

ヌカカ属のブヨ(Gnats)の咬傷に起因して、唾液成分抗原(Salivary antigen)に対する一型および四型過敏症(Type-1/4 hypersensitivity)を起こす疾患で、馬において最も多く見られるアレルギー性皮膚疾患(Allergic skin disease)であることが知られています。ヌカカ過敏症は晩春~初秋にかけて多く見られ、アイスランディックホース、ジャーマンシャイアー、アラビアン、コネマラ、クォーターホースなどの品種に好発することが報告されています。ヌカカ過敏症の発病は、特に3~4齢以下の若馬に多く、また、遺伝性素因(Genetic predisposition)の関与も示唆されています。

ヌカカ過敏症はその病変発症部位に応じて、背側分布(Dorsal distribution)と腹側分布(Ventral distribution)の二つの病態に分類され(もしくはその混合)、特徴的な掻痒症(Pruritus)に併せて、痂皮性丘疹(Crusted papules)が認められる事もあります。多くの罹患馬において、掻痒部位に噛み付いたり馬房壁に擦り付けるなどの自己外傷(Self-trauma)によって、糜爛(Erosions)、潰瘍(Ulcerations)、脱毛(Alopecia)、苔癬化(Lichenification)等の症状を続発し、慢性経過を示した症例では尻尾がネズミの尾のような外観を示したり(Rat tail appearance)、タテガミがバサバサに抜け落ちた外観(Buzzed-off mane apearance)になる場合もあります。また、掻痒症の重篤度によっては、性格の変化(Behavioral changes)や体重減少(Weight loss)などを示す症例も見られます。

ヌカカ過敏症の診断では、病歴(季節性、飼養環境、好発品種)によって推測が可能な症例もありますが、ヌカカの抽出物(Culicoides extracts)を用いての皮内試験(Intradermal testing)によって推定診断が下される事が一般的です。しかし、皮内投与されたヌカカ抽出物への過敏反応は、健常馬においても認められる事があるため(特に高齢馬)、皮内試験の陽性反応によってのみヌカカ過敏症の確定診断(Definitive diagnosis)を行うことは適当でないという警鐘が鳴らされており、ヌカカ駆除による顕著な症状改善など、臨床症状の推移を考慮しながら診断を下すことが重要です。また、血清ヌカカ抗体(Serum culicoides antibodies)の測定や、好塩基球脱顆粒試験(Basophil degranulation test)を用いての診断法も試みられていますが、その感度および信頼性に関しては論議があります。皮膚生検(Skin biopsy)を介しての病理組織学的検査(Histopathologic examination)では、顕著な好酸球浸潤(Eosinophil infiltration)を伴う脈管周囲および間質性の皮膚炎(Perivascular/Interstitial dermatitis)が認められ、類似疾患であるアトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis)との鑑別診断を行います。

ヌカカ過敏症の治療では、病原体への暴露を減少させることを第一指針とし、放牧から舎飼いへの飼養環境の変更、馬房の窓および扉への網戸の設置、強力な扇風機の使用、馬着およびマスクの着用、虫よけスプレーの塗布などが有効です。ヌカカ管理によっても充分な病変治癒が見られない症例に対しては、抗掻痒剤(Antipruritic agents)の局所塗布(Topical application)、必須脂肪酸(Essential fatty acid)の飼料添加、シャンプーによる定期的な馬体の丸洗い等が行われます。また、コルチコステロイド療法(Prednisolone, Dexamethasone, etc)による掻痒症の制御が有効な症例もありますが、蹄葉炎(Laminitis)やステロイド性肝障害(Steroid hepatopathy)などの副作用の危険を考慮して、抗ヒスタミン剤であるHydroxyzine、Cetirizine、Doxepin等の投与を併用することが推奨されています。アトピー性皮膚炎と異なり、抗原特異性免疫療法(Allergen-specific immunotherapy)を介しての減感作(Hyposensitization)による治療効果は証明されていません。

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