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馬の病気:スポロトリクム症

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スポロトリクム症(Sporotrichosis)について。

遍在性二形性真菌(Ubiquitous dimorphic fungus)であるSporothrix schenckiiの感染に起因して皮膚炎を起こす疾患です。S.schenckiiは土壌中や有機粉塵中の雑菌(Saprophyte in soil and organic debris)として存在し、創傷汚染(Wound contamination)から発症に至ると考えられています。また、人獣共通感染症(Zoonotic disease)として猫から人間へと伝播することが知られており、スポロトリクム症の罹患馬から人間への感染が起こる可能性も示唆されています。

スポロトリクム症の症状としては、表皮または皮下組織の硬化小結節(Dermal/Subcutaneous hard nodules)を呈し、病変は創傷を生じ易い遠位肢(Distal limb)に好発しますが、体躯に発症が見られる症例もあります。スポロトリクム症の罹患馬では、病状の悪化に伴って、リンパ管の肥大と肥厚(Enlarged/Thickened lymphatics)、結節病変部における膿瘍(Abscess)、潰瘍(Ulceration)、濃赤~黄色の浸出液(Red-brown to yellowish exudates dischage)などが見られる場合もありますが、掻痒症(Pruritus)は殆ど認められません。

スポロトリクム症の診断においては、細胞診(Cytologic examination)では、化膿性肉芽腫性炎症(Suppurative pyogranulomatous inflammation)が見られます。また、皮膚生検(Skin biopsy)を介しての病理組織学的検査(Histopathologic examination)では、結節性および瀰漫性の肉芽腫性皮膚炎(Nodular to diffuse pyogranulomatous/granulomatous dermatitis)や多核性巨細胞(Multinucleated giant cells)が認められます。しかし、細胞診や生検による真菌病原体の発見は困難である症例が多いことが報告されているため、浸出液または皮膚生検の検体(Exudate/Biospy samples)を用いてのS.schenckiiの真菌培養(Fungal culture)が試みられます。

スポロトリクム症の治療では、ヨウ化物の全身投与(Iodides systemic administration)が有効で、ヨウ化ナトリウム(Sodium iodide)の経静脈投与+経口投与、ヨウ化カリウム過飽和溶液(Supersaturated solution of potassium iodide)の経口投与、エチレンジアミンジヒドロヨウ素(Ethylenediamine dihydroiodide)の経口投与などが用いられています。スポロトリクム症の症状改善は、ヨウ化物の投与開始から一ヶ月以内に見られることが一般的ですが、根治療法のためには病巣の肉眼的完治から最低一ヶ月は治療を継続することが重要です。ヨウ化物の全身投与が実施された患馬では、副作用であるヨウ素中毒(Iodism)を示す、痂皮(Scaling)、脱毛(Alopecia)、抑鬱(Depression)、食欲不振(Anorexia)、発熱(Fever)、咳嗽(Coughing)、流涙(Lacrimation)、漿液性鼻汁(Serous nasal discharge)、流涎(Salivation)などの臨床症状を慎重にモニタリングすることが大切です。また、流産(Abortion)を起こす危険を考慮して、妊娠牝馬(Pregnant mare)へのヨウ化物投与は禁忌(Contraindication)とされています。重度のヨウ素中毒症状を示した症例に対しては、代替療法(Alternative therapy)として、Imidazole、Triazole、Ketoconazole、Itraconazole等の抗真菌剤(Anti-fungal agents)の投与が応用されることもあります。

人獣共通感染症の危険を考慮して、スポロトリクム症が疑われる全ての症例の診療に際しては、手袋の装着、上腕部位の洗浄や殺菌、病巣部破片の廃棄処理等を徹底して行うことが推奨されています。また、免疫抑制濃度(Immunosuppressive dosage)におけるコルチコステロイド療法(Prednisolone, Dexamethasone, etc)では、病巣治癒から4~6ヶ月後に症状再発(Recurrence)を生じるため、実施は禁忌とされています。

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