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馬の病気:気膣症

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気膣症(Pneumovagina)について。

膣内部に空気が貯留する疾患で、慢性の炎症や感染(Chronic inflammation/infection)を続発して受精不能(Infertility)を起こす症例もあるため、繁殖牝馬にとっては臨床的に深刻な病態と言えます。気膣症の病因としては、加齢、分娩(Parturition)、会陰裂傷(Perineal laceration)による外陰支持靭帯の牽引(Stretching of vulva support ligament)に起因して、会陰形状悪化(Poor perineal confirmation)や肛門部の沈下(Sunken anus)を起こし、正常時には地面に対して垂直を成している会陰角度が増加することが挙げられています。

気膣症の診断では、膣鏡検査(Speculum examination)によって膣炎(Vaginitis)や浸出液貯留(Exudate accumulation)を確認することに併せて、尿膣症(Urovagina)や子宮内膜炎(Endometritis)の併発を除外診断することが重要です。気膣症の罹患馬では、エストロジェン濃度が上昇して会陰部の弛緩(Perineal relaxation)を示す発情期間中(During estrus)のみに症状が認められる症例もあります。

気膣症の治療では、外科的に外陰形成術(Episioplasty)を施して、空気の吸引を減退および予防する処置が講じられます。Caslick手術では、背側陰唇の皮膚粘膜境界部(Mucocutaneous junction of dorsal labia)を切除した後、粘膜面同士を縫合結合して陰唇組織癒合を促します。この際には、縫合糸がほどけるのを防ぐため、結合部位の腹側側にBreeding stitchが設けられる場合もあります。また、気膣症の罹患馬では複数回のCaslick手術を要する可能性を考慮して、過剰な陰唇組織を切除しない事が重要です。Caslick手術によって、陰門の過剰閉鎖(Excessive closure of dorsal vulva)が生じた場合には、排尿時の後方尿飛沫(Urine back-splash during urination)から尿膣症を続発する症例もあります。

会陰体部再構築術(Perineal body reconstruction)では、陰唇皮膚粘膜境界部に設けた切開創を、膣前庭交連部(Dorsal commissure of vestibule)の深部へと前庭膣括約筋(Vestibulovaginal sphincter)に達する深さまで伸展させます。その後、三角形の粘膜組織を切除してから、この切開部の腹側辺縁を縫合閉鎖して膣前庭天井部を形成し、Caslick手術と同様に外陰部の縫合閉鎖を行います。会陰体部再構築術は、外陰前庭収縮筋(Vulvar/Vestibular constrictor muscle)の機能が不十分である症例において、より堅固に外陰部の閉鎖を達成できることが示されています。

会陰体部切開術(Perineal body transection)では、肛門と膣前庭交連部の中央に設けた水平切開創(Horizontal incision between anus and vestibular dorsal commissure)を外陰の両側へと伸展させて、尾側生殖器と直腸をつないでいる結合組織を切開してから、皮膚組織のみの縫合を行います。この際には、会陰角度が正常になる深さまで切開創を伸展させることを基本指針としますが、会陰形状悪化の重篤度によっては会陰体部切開術の後に、Caslick手術による外陰閉鎖の併用を要する場合もあります。

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