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馬の病気:精嚢炎

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精嚢炎(Seminal vesiculitis)について。

精嚢(Vesicular glands, Seminal vesicules)の炎症は、尿道炎(Urethritis)の波及や上行性細菌感染(Ascending bacterial infection)に起因することが一般的で、尿道球腺(Bulbourethral glands)の炎症を併発する場合もあります。

精嚢炎の罹患馬では、精液中に多量の好中球と赤血球の混入(Neutrophils and red blood cell contamination)が起こり、受精能低下(Reduced fertility)を引き起こし、また、繁殖誘導性子宮内膜炎(Breeding-induced endometritis)の発症を助長する危険性もあります。精嚢炎の症状としては、軽度の疝痛症状(Mild colic sign)や、交配を拒絶する行動を示し、直腸検査(Rectal examination)では、精嚢の肥大化(Enlargement)や圧痛(Pain on palpation)が認められる事もあります(尿道球腺の触診は通常困難)。

精嚢炎の診断では、精液検体を用いての細菌培養(Bacterial culture)および抗生物質感受性試験(Antibiotic susceptibility test)が行われ、精子濃度(Spermatozoa concentration)や形態異常を示す精子数(Spermatozoa with morphologic defects)の検査を行うことで、精巣炎(Orchitis)や精巣上体炎(Epididymitis)の除外診断を試みます。また、炎症発生部位の特定のため、尿道内視鏡検査(Urethral endocsopy)を介して、尿道球腺の開口部位もしくは精嚢の開口部位から、これらの腺腔内にカテーテルを挿入して、分泌液検体を直接的に採取する手法が有効です。

精嚢炎の治療では、内視鏡によるカテーテル挿入を介して、精嚢または尿道腺の洗浄(Lavage)および抗生物質注入(Antibiotic instillation)が行われます。また、感受性試験に基づいての全身性抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)も併行して実施され、特にErythromycin、Trimethoprim、Enrofloxacin等が精嚢炎の原因菌に対して有効である症例が多いことが報告されています。精嚢炎の完治には、2~3ヶ月にわたる抗生物質療法を要する症例もあり、感染再発(Infection recurrence)を防ぐため、精液検査において正常所見が見られた後も、1~2週間は治療を継続することが推奨されています。

精嚢炎の罹患馬は予後不良(Poor prognosis)を示す場合も多く、慢性経過を示した症例では精嚢内への膿性物質貯留(Purulent material accumulation)や線維化(Fibrosis)を呈する症例もあるため、精嚢の外科的切除が実施されます。この場合には、精液採取後に直ちに精子の濾過(Filtration)と抗生物質を含む希釈液(Antibiotic-containing extender)の添加を行うことで、細菌増殖を抑え、精子の生存能と受精能を維持(Maintenance of Spermatozoa motility and fertility)することが可能であるため、人工授精(Artificial insemination)によって継続して繁殖を実施できることが示されています。

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