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馬の病気:心筋炎

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心筋炎(Myocarditis)について。

心筋の炎症(Myocardium inflammation)に起因する循環器症状を呈する疾患で、細菌性(Staphylococcus aureus, Streptococcus equi, Clostridium chauvoei, Mycobacterium spp, etc)、ウイルス性(Equine infectious anemia, Equine viral arteritis, Equine influenza, African horse sickness, etc)、寄生虫性(Strongylosis, Onchocerciasis, etc)、毒物性(Monensin, Cantheridin, Ionophore, etc)、または血栓塞栓性(Thromboembolic)の病因が知られています。

心筋炎の臨床症状は、一般的に非特異的で、発熱(Fever)、頻脈(Tachycardia)、頚静脈怒張(Jugular venous distension)、末梢浮腫(Peripheral edema)、筋痛症(Myalgia)、運動不耐性(Exercise intolerance)などが見られます。また、僧帽弁および三尖弁閉鎖不全(Mitral/Tricuspid valve insufficiency)を併発した場合は、汎収縮期または全収縮期雑音(Holosystolic/Pansystolic murmur)が聴取される事もあります。

心筋炎の診断では、心電図検査(Electrocardiography)は正常範囲内である場合が多いですが、洞性頻脈(Sinus tachycardia)を示す場合もあります。心エコー検査(Echocardiography)では、左心室内径の減少(Decreased left ventricular internal diameter)、左心室壁および心室中隔壁の肥厚化(Thickened left ventricular wall and interventricular septum)、大動脈根内径の減少(Decreased aortic root diameter)などが確認され、僧帽弁および三尖弁逆流(Mitral/Tricuspid regurgitation)を呈する症例もあります。血液検査は、一般的に正常範囲内ですが、好中球性白血球数増加症(Neutrophilic leukocytosis)を示す事もあります。血清中のCK濃度とLDH濃度は軽度に上昇し、心筋トロポニンI(Cardiac troponin I: cTnI)の増加は比較的心筋炎に特異的な所見であることが知られています。また、血清検査によってウイルス性病態の除外診断を行うことも重要です。胸水検査(Pleural fluid analysis)では、漏出液(Transudate)の増加に伴って、蛋白濃度の低下(<2.5g/dL)と白血球数の減少(<2500/uL)が確認されます(心外膜炎から併発した症例を除いて)。

心筋炎の治療としては、毒物性の病態および難治性の心不全(Intractable heart failure)においてはコルチコステロイド療法が実施されますが、ウイルス性心筋炎においては感染再発(Viral infection recrudescence)の危険から使用には賛否両論があります。多くの心筋炎症例において、陽性変力薬(Positive inotropic agent)であるジゴキシン投与による心拍出量の改善が試みられますが、急性のモネンシン中毒(Acute monensin toxicity)では使用禁忌とされています。ジゴキシン療法では、副作用の危険を考慮して、投与開始後3~5日で血清トラフ濃度(Serum trough concentration)に到達し、低濃度の維持投与量に切り替える指針が示されています。BUNおよびクレアチニン濃度の上昇が見られる症例では、ジゴキシン療法を維持投与量から始めたり、血清ジゴキシン濃度のモニタリングを実施することが有効です。

心筋炎において、重度の慢性心不全(Chronic heart failure)を起こした症例においては、利尿剤(Diuretics: Furosemide, etc)投与による末梢浮腫の減退、血管拡張剤(Vasodilators: Hydralazine, Enalapril, ACE inhibitor, etc)投与による循環改善、抗不整脈薬(Anti-arrhythmia drugs: Lidocaine, Quinidine, MgSO4, etc)の投与などを要する事もあります。

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