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馬の病気:増殖性腸疾患

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増殖性腸疾患(Proliferative enteropathy)について。

ローソニア属菌(Lawsonia intracellularis)の感染に起因して、回腸の腺窩細胞(Ileal crypt cells)の増殖と腸壁の肥厚化(Intestinal wall hyperplasia)を生じる疾患で、三~八ヶ月齢の子馬に好発します。増殖性回腸炎(Proliferative ileitis)、または、腸管腺腫症(Intestinal adenomatosis)と呼ばれることもあります。腺窩細胞増殖によって肥厚した粘膜層では、成熟した絨毛細胞(Mature villous cells)が不十分であるため、吸収能の低下(Decreased absorptive capacity)を起こし、また、病変が小腸に限局している所見で、類似疾患であるロドコッカスエクイ腸炎(R. equi enteritis)(小腸~盲腸~結腸においてパイエル板領域の潰瘍を生じる)との鑑別が可能な場合もあります。

増殖性腸疾患の症状としては、吸収不全(Malabsorption)による慢性体重減少(Chronic weight loss)、間欠性の腹部疼痛症状(Intermittent abdominal discomfort)、下痢症(Diarrhea)などが見られ、病状の進行に伴って、成長阻害(Retarded growth)、頻脈(Tachycardia)、頻呼吸(Tachypnea)等を呈する場合もあります。血液検査では、重篤な低蛋白血症(Profound hypoproteinemia)、白血球数増加症(Leukocytosis)、高フィブリノーゲン血症(Hyperfibrinogenemia)を示し、多くの症例において腹部浮腫(Ventral edema)が見られます。

増殖性腸疾患の診断では、腹腔超音波検査(Abdominal ultrasonography)において、顕著な小腸壁の肥厚化(Thickened intestinal wall: 6-12mm)が認められ、粘膜面のヒダ状外観(Corrugated appearance of mucosa)と内腔狭窄化(Decreased lumen diameter)も観察されます。細菌培養によるL. intracellularisの分離は困難な場合が多いため、蛍光抗体試験(Fluorescent antibody test)や免疫過酸化酵素単層検定(Immuno-peroxidase monolayer assay)などを用いて、病原体を同定する手法も報告されていますが、糞便検体を用いてのPCR法においては、抗生物質療法の開始から四日目以降に陰性結果(Negative result)を示す可能性が高いことが示唆されています。一方で、炭水化物吸収試験(Carbohydrate absorption test)では、異常を認める症例は殆どありません。

増殖性腸疾患の治療では、ErythromycinもしくはAzithromycinの投与による全身性抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)が行われ、Rifampinが併用される場合もあります。Oxytetracyclineの静脈投与、および、Doxycyclineの経口投与による治療成功例も報告されています。また、Chloramphenicol投与もローソニア菌感染に有効であることが示されていますが、投薬実施者への副作用を考慮して、臨床応用される機会はあまり多くありません。重篤な下痢症状を示した症例に対しては、補液療法(Fluid therapy)による再水和(Rehydration)、電解質不均衡(Electrolyte imbalance)の改善、高窒素症(Azotemia)の治療が行われ、高免疫血漿(Hyperimmune plasma)やヒドロキシエチル澱粉溶液(Hydroxyethyl starch)などのコロイド投与を介して、血漿膠質浸透圧(Plasma oncotic pressure)を上昇させて、低蛋白血症および腹部浮腫の迅速な改善が試みられます。

早期治療が行われた増殖性腸疾患の症例では、比較的良好な予後が期待できることが示されていますが、臨床症状および血液検査の結果に関わらず、超音波検査において肥厚化した腸壁の治癒が確認されるまで内科的治療を継続することが推奨されています。増殖性腸疾患の予防を目的として、ローソニア属菌に対するワクチン接種の応用も試みられています。増殖性腸疾患の発症に関わる危険因子(Risk factors)としては、近くに豚が飼育されていること(Close proximity to swine operations)、過密な飼養(Over-crowding)、飼料の変化(Feed changes)、抗生物質使用(Antibiotic usage)、輸送(Transportation)などが挙げられています。

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