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致死的骨折の予防

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2006年のBarbaroや、2008年のEight Bellesのように、致死的骨折(Catastrophic fracture)によって安楽死(Euthanasia)となる競走馬をいかに減らしていくか、という論議がアメリカでは盛んになっています(The Horse Magazine, June 17 2008, Article #12022)。

疫学的研究(Epidemiologic research)の結果によれば、性別、年齢、跛行用治療薬の投与などが潜在的な危険因子(Potential risk factors)として挙げられていますが、最も重要な原因は骨の微細損傷の蓄積(Microdamage accumulation)であると提唱されています。馬においては、調教または競走によって生じた微細骨折(Microfracture)が治癒する過程で、はじめに破骨細胞(Osteoclast)による骨吸収(Bone resorption)が起こった後、骨芽細胞(Osteoblast)による骨形成(Bone formation)がゆっくりと進行します。このため、一時的に骨強度の減退(Diminished bony strength)が生じ、この期間に致死的骨折を発症する危険が高まると考えられています。そのような病因論を考慮して、幼馬の時期に徐々に運動強度を上げていく調教法(Exercise protocol of gradually increasing intensity)の有用性が検討され始めています(Rogers et al. EVJ. 2008; 40: 111-127)。

一方で、多くの骨折は走行時に馬が踏み誤る際に発症すると考えられているため、合成馬場表面(Synthetic running surface)を用いることで、致死的骨折の発症率の減少を目指す研究も行われています。また、Barbaro記念基金(Barbaro memorial fund)の創設によって、馬の骨折治療において最大の課題である負重性蹄葉炎の治療法も研究されています。更に、競走馬繁殖の段階で、競走速度を優先させて種牡馬を選択することで、運動器疾患を起こし易い遺伝的素因が増加(Increased genetic predisposition)している可能性も論議されています。

雑誌「The Horse」に掲載された馬の致死的骨折の特集において、著者であるStacey Oke獣医師はこう結んでいます。「馬という生き物が、“損害を覚悟して危険に晒される産物”(Expendable commodities)であってはならない。我々にとって馬の健康(Health)、安全(Safety)、そして繁栄(Prosperity)は極めて重要なものであるのだから。」

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