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馬の病気:化膿性髄膜炎

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化膿性髄膜炎(Suppurative meningitis)について。

細菌感染が直接性または血行性に頭蓋冠(Calvarium)へと波及して、神経症状を呈する疾患です。原因疾患としては、頭蓋骨骨折(Skull fracture)、副鼻腔炎(Sinusitis)、篩板骨折(Cribriform plate fracture)などが挙げられ、篩骨血腫(Ethmoid hematoma)の外科的切除や、不適当な円鋸孔形成(Improper placement of trephination holes)等から医原性に発症する事もあります。化膿性髄膜炎の原因菌としては、Cryptococcus neoformans、Streptococcus zooepidemicus、Streptococcus suis、Streptococcus equi、Actinomycess sppなどが報告されています。また、左側の心内膜炎(Left-sided encocarditis)から上行性に中枢神経の細菌感染が起こる事も示されています。

化膿性髄膜炎の症状としては、初期病態では全身性疾患の徴候を呈し、下痢(Diarrhea)、発熱(Fever)、食欲不振(Anorexia)を起こし、頚部硬化(Stiff neck)や知覚過敏(Hyperesthesia)なども見られます。また、頭部や頚部に触知刺激(Tactile stimulation)を与えることで、痙攣性の肢伸張(Spasmodic limb extension)、線維束性筋収縮(Muscle fasciculations)、全身性の運動器興奮(Generalized frantic motor activity)などが誘発される場合もあります。化膿性髄膜炎の病態進行に伴って、四肢麻痺(Tetraparesis)、反射亢進(Hyperreflexia)、旋回運動(Circling)、頭部振戦(Head tremor)などを呈し、脳神経異常を併発した症例では、眼振(Nystagmus)、顔面麻痺(Facial palsy)、失明(Blindness)、瞳孔不同(Anisocoria)、斜視(Strabismus)等が見られます。

化膿性髄膜炎の症状発現は、代謝性脳疾患(Metabolic encephalopahy)に類似するため、ナトリウム、グルコース、マグネシウムなどの血漿濃度や、肝臓機能の検査によって除外診断を下すことが重要です。脳脊髄液検査(Cerebrospinal fluid analysis)では、蛋白濃度上昇と白血球数の増加が見られ、黄色化(Xanthochromia)、混濁化(Turbid)、凝固(Clot)等を生じる事もあります。血液検査での異常はあまり顕著ではなく、二次性疾患の有無によっては、白血球増加症(Leukocytosis)、高カリウム血症(Hyperkalemia)、呼吸性酸血症(Respiratory acidosis)などを示す場合もあります。

化膿性髄膜炎の治療としては、全身性抗生物質療法(Systemic antibiotic therapy)が行われますが、脳脊髄液を用いての抗生物質感受性試験(Antimicrobial sensitivity test)では原発病原菌(Primary pathogen)の分離は困難であるため、多くの症例においてグラム染色の結果に基づいて投与薬が選択されます。一般的に化膿性髄膜炎に対しては、無極性の塩基性薬物(Nonpolar basic broad-spectrum drugs)が経静脈投与(Intravenous administration)を介して用いられます。腸内細菌(Enterobacteriaceae)による髄膜炎では、アミノグリコサイド系抗生物質(Aminoglycosides: Gentamicin, Amikacin, etc)または第三世代セファロスポリン系抗生物質(Third-generation cephalosporins: Moxalactam, Cefotaxime, Ceftiofur, etc)が効果的です。アミノグリコサイド系抗生物質は脳脊髄液中への浸潤度が低いため、髄腔内注射(Intrathecal injection)または脳室内注射(Intraventricular injection)による使用も提唱されています。経済的に上記薬剤の応用が難しい場合には、Trimethoprim-Sulfadiazineが用いられることもあります(急性病態を除いて)。抗生物質療法の中止後に、神経症状が回帰する症例においては、薬剤の種類または投与濃度を変更することが必要です。脂溶性薬剤であるChloramphenicolは脳脊髄液への分布能が高いものの、グラム陰性菌への殺菌作用が不十分で人体への副作用の危険もある事から、馬の化膿性髄膜炎に対する治療薬としては推奨されていません。

化膿性髄膜炎の治療では、多くの症例において、抗生物質と併行して、コルチコステロイドや非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)などが用いられます。痙攣(Convulsions)を呈した場合には、DiazepamまたはPhenobarbitalの経静脈投与が行われ、痙攣症状の長期的管理にはDiphenylhydantoinの経口投与またはPhenobarbitalの経静脈投与が使用されます。子馬の化膿性髄膜炎において、血液中の免疫グロブリン値を測定することが大切で、低値が認められた場合には、健常成馬からの血清輸血(Plasma transfusion)が実施されます。

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