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馬の病気:ホーナー症候群

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ホーナー症候群(Honor's syndrome)について。

眼球交感神経の経路(Ocular sympathetic pathway)が阻害されることによって神経症状を起こす疾患です。この経路は中脳被蓋(Mesecephalic tectum)に起始し、下行軸索(Descending axon)は第一~第三胸脊髄(First to third thoracic spinal cord)の部位において腹側脊髄神経(Ventral spinal nerve)として抜け出したあと頭側へ反転し、頚胸神経節(Cervicothoracic ganglia)と中頚神経節(Middle cervical ganglion)を通過し、頭側迷走交感神経躯幹(Cranial vagosympathetic trunk)を上行して、側頭錐体骨(Petrous temporal bone)の部位において頭側神経節(Cranial ganglion)に入ります。

ホーナー症候群の原因となる疾患としては、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)、側頭舌骨変形性関節症(Temporohyoid osteoarthropathy)、頚部の外傷・膿瘍・腫瘍(Cervical trauma/abscess/tumor)、頭側胸部の占拠性病変(Space-occupying lesions in anterior thorax)、眼窩周囲膿瘍(Periorbital abscess)、耳下腺導管通過障害(Parotid duct obstruction)、食道破裂(Esophageal rupture)、頚動脈結紮による合併症(Complication associated with carotid artery ligation)などが挙げられます。また、頚静脈(Jugular vein)への薬物注射(Xylazine, Vitamine E, Phenylbutazone, etc)に起因した病態や、馬多発神経炎(Polyneuritis equi)および馬原虫性脊髄脳炎(Equine protozoal myeloencephalitis)に併発して起こる症例も報告されています。

ホーナー症候群の症状としては、瞳孔収縮(Miosis)、眼球陥没(Enophthalmos)、眼瞼下垂(Ptosis)、局所高体温(Regional hyperthermia)、対側顔面での過剰発汗(Excessive sweating on ipsilateral face surface)、粘膜充血(Congested mucous membranes)、吸気性喘鳴(Inspiratory stridor)、慢性発汗に起因する皮膚炎(Dermatitis)などが見られます。過剰発汗は、ベータ2受容体刺激薬(B2-agonists: Clenbuterol, Isoprenaline, Phenylephrine, etc)の投与によって誘導され、随伴性の頚部交感神経損傷(Concomitant damage to cervical sympathetic nerve)が生じた場合には、頚部における異常発汗を呈することもあります。また、周囲神経組織の機能異常によって、顔面神経麻痺(Facial nerve paralysis)や喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplegia)を併発する症例も報告されています。

ホーナー症候群の診断としては、特徴的臨床所見(Characteristic clinical signs)を評価することに加えて、喉嚢の内視鏡検査(Endoscopy)や頚椎のX線検査が行われ、また、薬理学的検査(Pharmacologic testing)によって損傷箇所の特定を試みます。Hydroxyamphetamineの点眼によって瞳孔散大(Pupillary dilatation)が生じた場合には、神経節前性交感神経病変(Pre-ganglionic sympathetic lesion)が疑われ、陰性の場合には神経節後性交感神経病変(Post-ganglionic sympathetic lesion)が疑われます。また、Epinephrineの点眼によって20分以内に散瞳(Mydriasis)が生じた場合には神経節後性交感神経病変が疑われ、散瞳発現に40分程度を要した場合には神経節前性交感神経病変が疑われます。同様に、Phenylephrineの点眼によって瞳孔散大が生じた場合には神経節後性交感神経病変が疑われます。これらの直接作用性交感神経作動薬(Direct-acting sympathomimetic)による反応は、除神経性過敏現象(Denervation supersensitivity phenomenon)によるため、神経損傷から少なくとも数日が経過した患馬においてのみ診断的有用性があります。

殆どのホーナー症候群の症例においては、神経損傷部位は不可逆的変化(Irreversible change)である場合が多く、臨床症状の完治は困難であるとされています。しかし、脈間周囲部への薬物注射(Perivascular drug injection)に起因する病態では、脈間周囲腔への多量の生理食塩水注入と、コルチコステロイドまたは非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)の全身性投与によって、症状の改善が見られる場合もあります。また、喉嚢真菌症に起因するホーナー症候群においては、バルーンカテーテル(Balloon catheter)もしくは経動脈コイル(Transarterial coil)を用いて動脈閉鎖を施し、致死性出血を予防することに併行して、神経症状の改善が起きることもあります。側頭舌骨変形性関節症に起因する症例においては、Ceratohyoid骨切除術によって側頭舌骨への負荷を減退させることで、神経損傷部の治癒が期待できます。

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