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馬の病気:馬多発神経炎

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馬多発神経炎(Polyneuritis equi)について。

第二および第三腰椎の脊髄神経根(=馬尾:Cauda equina)と脳神経(Cranial nerve)の損傷による神経症状を呈する疾患です。通常は、全ての脊髄神経根が(重篤度に差はあれど)異常を起こすため、伝統的な馬尾神経炎(Cauda equina neuritis)という病名は適当でないという警鐘が鳴らされています。馬多発神経炎の原因としては、自己免疫性病因(Autoimmune etiology)、全身性感染症に続発する過敏症反応(Hypersensitivity reaction after systemic infection)、一型馬ヘルペスウイルス(Equine herpes virus type-1)の感染、または、馬ウイルス性動脈炎(Equine viral ateritis)の関与などが挙げられています。

馬多発神経炎の初期病態では、尾根部の知覚過敏症(Hyperesthesia of tailhead)と、それに起因すると考えられる尾根部を噛んだり擦り付ける仕草(Tail chewing or rubbing)が観察されますが、病態の進行に伴って、膀胱、尾、直腸、肛門括約筋等の進行性不全麻痺(Progressive paresis of bladder, tail, rectum, and anal sphincter)などの症状が見られるようになります。多くの症例で、尿失禁(Urinary incontinence)、大腿部の皮膚荒れ(Thigh scalding)、後肢の運動失調(Hindlimb ataxia)が続発しますが、会陰触覚(Perineal sensation)の減退および消失は通常は観察されません。脳神経異常では、三叉神経の運動枝(Motor branch of trigeminal nerve)が最も一般的に損傷され、側頭筋(Temporal muscles)と咀嚼筋(Masseter muscles)の萎縮(Atrophy)、流涎(Drooling)、嚥下障害(Dysphagia)などの症状を呈します。

馬多発神経炎の診断としては、特徴的臨床所見を確認することに加えて、血液検査では好中球増加症(Neutrophilia)と高フィブリノーゲン血症(Hyperfibrinogenemia)が見られます。また、脳脊髄液(Cerebrospinal fluid)の検査では、蛋白濃度と白血球数の増加が起きます。その他、外傷性腰椎損傷を除外診断するための仙尾骨領域(Sacrococcygeal area)のX線検査や、馬原虫性脊髄脳炎(Equine protozoal myeloencephalitis: EPM)を除外診断するための脳脊髄液のウエスタンブロット検査なども実施されます(EPM清浄国の日本では殆ど必要なし)。

馬多発神経炎の初期病態における治療としては、コルチコステロイドもしくは非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)の投与が有効な場合もあります。また、自己免疫性の病因論を考慮して、免疫抑制剤(Immuno-suppressive drugs: Azathioprine, etc)の使用も試みられていますが、顕著な効能は報告されていません。排尿および排糞異常を呈した症例では、膀胱除圧(Bladder decompression)と直腸便除去(Rectum evacuation)、または二次性膀胱炎(Secondary cystitis)の治療のための抗生物質投与が実施されますが、多くの症例において病態が進行性に経過して安楽死(Euthanasia)の処置が選択されます。

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