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馬の病気:披裂軟骨疾患

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披裂軟骨疾患(Arytenoid chondropathy)について。

披裂軟骨(Arytenoid cartilage)の異常な肥大(Abnormal enlargement)を呈する疾患で、その病態には軟骨炎(Chondritis)、軟骨症(Chondrosis)、軟骨腫形成(Chondroma formation)、異形成(Dysplasia)、壊死(Necrosis)、軟骨周囲炎(Peri-chondritis)、肉芽腫性喉頭炎(Granulating laryngitis)、膿瘍形成(Abscessation)などが含まれます。披裂軟骨疾患の病因としては、粘膜損傷(Mucosal injury)に続発する上行性感染(Ascending infection)から組織下軟骨の炎症波及(Subsequent inflammation of underlying cartilage)を生じることが挙げられています。多くの場合、披裂軟骨の可動性減退(Reduced mobility)が起こり、それに加えて、外側変位した甲状軟骨(Laterally positioned thyroid cartilage)が物理的障壁になったり、輪状披裂関節(Cricoarytenoid joint)および背側輪状披裂筋(Dorsal cricoarytenoid muscle)に炎症が波及して関節機能が損失すると、披裂軟骨の部分的または完全な外転不能(Partial/Complete failure of abduction)に至ります。

披裂軟骨疾患の症状としては、競走馬では呼吸器閉塞(Respiratory obstruction)や運動不耐性(Exercise intolerance)などの症状が、強運動(Strenuous exercise)の際に認められます。一般的に、病態は緩やかな進行性(Slow progression)を示し、喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplasia)と類似の臨床徴候を示す場合もあります。一方、非競走馬では重度の気道狭窄(Marked airway narrowing)に至るまでは症状を示さないため、初診時には呼吸雑音(Respiratory noise)や呼吸困難(Dyspnea)を呈していることが一般的です。

披裂軟骨疾患の診断では、内視鏡検査(Endoscopic examination)によって、変形して捻れた披裂軟骨(Mishapen or distorted arytenoid cartilage)、および、気道内腔に飛び出た肉芽組織(Intraluminal projections of granulation tissue)を視認することで確定診断(Definitive diagnosis)が下されます。罹患側の口蓋咽頭弓(Palatophryngeal arch)は突出し、反対側の軟骨に接触性潰瘍(Contact ulcer)を生じる場合もあります(いわゆるKissing lesion)。喉頭軟骨を触診した際には、喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplegia)では罹患側の筋突起(Muscular process)が明瞭に触知されるのに対して(反回神経麻痺による筋萎縮が起こるため)、披裂軟骨疾患では両側の筋突起周囲の肥厚が触知される事があります。また、側方X線検査(Lateral radiography)では、披裂軟骨の石灰化(Mineralization)や変形が確認できる症例もあり、さらに、超音波検査(Ultrasonography)によって、披裂軟骨病巣の浸潤範囲を精査できることが示唆されています。

披裂軟骨疾患の治療では、急性病態においては抗生物質と非ステロイド系抗炎症剤の投与によって、喉頭浮腫(Laryngeal edema)を良化させることで症状改善が認められることもありますが、披裂軟骨疾患は進行性の病態であることを考慮すると、根治療法(Curative therapy)のためには、発症側の披裂軟骨の部分切除術(Partial arytenoidectomy)および声嚢声帯切除術(Ventriculocordectomy)を要するケースが殆どです。手術では、呼吸困難(Dyspnea)、嚥下障害(Dysphagia)発咳(Coughing)などの術後合併症(Post-operative complications)を防ぐため、気管切開術(Tracheostomy)が施されます。

披裂軟骨の部分切除術の術後には、地面から給餌することが推奨されており、軟骨の石灰化が進行して予後不良となる割合は5%に過ぎないことが報告されています。しかし、17%の症例においては、術創癒合不全(Surgical wound dehiscence)に起因する肉芽組織の新生が生じる危険性があり、レーザー手術による切除を要することが示唆されています。

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