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馬の病気:喉頭蓋捕捉

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喉頭蓋捕捉(Epiglottic entrapment)について。

喉頭蓋(Epiglottis)の辺縁に、弛緩した周囲軟部組織(披裂喉頭蓋ヒダ:Aryepiglottic fold)が引っ掛かることによって起こる疾患です。喉頭蓋捕捉の罹患馬では、呼気性もしくは吸気性呼吸困難(Expiratory or Inspiratory dyspnea)を呈しますが、運動不耐性(Exercise intolerance)は必ずしも明瞭でない場合もあります。また、運動初期もしくは飲水直後の発咳(Coughing)が見られる事もあります。

喉頭蓋捕捉の内視鏡検査(Endoscopic examination)では、喉頭蓋辺縁は周囲組織に覆われ観察できないものの、喉頭蓋の輪郭自体は軟口蓋(Soft palate)の上方に確認できる所見を確認し、軟口蓋背方変位(Dorsal displacement of soft palate: DDSP)との鑑別を行います。間欠性(Intermittent)の喉頭蓋捕捉の症例では、来院時に捕捉を生じておらず、内視鏡検査で確定診断(Definitive diagnosis)ができないこともあります。また、三割~四割の症例で、喉頭蓋の低形成(Hypoplasia)を併発することが知られています。そして、側方X線写真で喉頭蓋の長さを測定した報告では、罹患馬のほうが喉頭蓋長が短い(6.6~7.3cm)という知見が示されています(正常馬では8.6~8.8cm)。

喉頭蓋捕捉の治療では、経口腔もしくは喉頭切開術(Laryngotomy)によって、捕捉軟部組織を外科的に切開もしくは切除します。喉頭切開術では広い視野が確保できますが、切創を避けるため口腔を介して切開鉤(刃を覆うカバーが付いた器具が有用)、もしくは、レーザー照射(喉頭蓋そのものを熱損傷させない事に留意する)によって、捕捉軟部組織を正中切開する方法が推奨されています。周囲組織の切除が不十分の場合、喉頭蓋捕捉の再発の危険が高まりますが、組織切除量が過多の場合、術後に軟口蓋背方変位(Dorsal displacement of soft palate: DDSP)を引き起こす可能性があり、組織切除の適度に関しては論議(Controversy)があります。この際、捕捉された組織を正中線で縦に切ることで、切断後の組織は頭尾側方向に引き伸ばされて、喉頭蓋の下部の正常位置に戻ることが示唆されています。

喉頭蓋捕捉の罹患馬のうち、重度の喉頭蓋低形成を伴い、極めて肥厚した披裂喉頭蓋ヒダが捕捉している症例では、正中線でこの組織を切開する手法は推奨されておらず、喉頭切開術を介して、捕捉組織の広範にわたる切除を要することが示唆されています。この場合、披裂喉頭蓋ヒダを扇状に保持した状態で、喉頭蓋尖端部から数ミリの箇所からこのヒダ組織を切りはじめ、喉頭蓋の辺縁から1.0~1.5cmの距離で左右両方向へと切除していきます。こうすることで、捕捉組織の盛り上がり形状を取り除き(Debulking of entrapped tissue)、喉頭蓋捕捉の再発を予防することが可能です。

喉頭蓋捕捉の予後は良好で、披裂喉頭蓋ヒダが適切に切断または切除された場合には、再発率は数%に過ぎないことが知られています。しかし、術後にDDSPの合併症(Complications)を続発する危険性は、5~15%に及ぶ(術式のよって差異あり)ことが報告されており、術前にこの事を馬主に説明しておくことが重要である(喉頭蓋の低形成が認められた場合には特に)、という警鐘が鳴らされています。

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