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馬の病気:多糖類貯蔵筋症

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多糖類貯蔵筋症(Polysaccharide storage myopathy)について。

筋肉内に多量のグリコーゲンおよび異常構造の多糖類(Abnormal polysaccharide)が蓄積(Accumulation)して、慢性の労作性横紋筋融解症(Chronic exertional rhabdomyolysis)を起こす疾患で、クォーターホースおよび重種馬に好発することが知られていますが、ウォームブラッド、アパルーサ、モルガン、サラブレッド、アラビアン等の品種における発症も報告されています。

多糖類貯蔵筋症の病因(Etiology)としては、インシュリン感受性の増加(Increased insulin sensitivity)によるブドウ糖取込の亢進(Enhanced glucose uptake)、およびグリコーゲン合成酵素(Glycogen synthase)の調整不全(Abnormal regulation)による、グリコーゲンおよび異常多糖類の過剰生成(Excessive synthesis)、等が挙げられています。多糖類貯蔵筋症には、遺伝的素因(Genetic predisposition)の関与が強く示唆されていますが、重種馬における病態では、遺伝子検査によって陽性を示しても、必ずしも症状発現に至らない患馬も多いことが示されています。

多糖類貯蔵筋症の症状は横紋筋融解症と近似し、運動開始後に、強直歩様(Stiff gait)、筋線維束性収縮(Muscle fasciculation)、筋痙攣(Muscle cramping)(いわゆるコズミ症状)、発汗(Sweating)、虚弱性(Weakness)、動くのを拒否する仕草(Reluctance to move)などが認められ、筋痙攣を緩和するためと考えられる排尿姿勢に似た姿勢を示す場合もあります。触診では、羅患筋肉の硬化性腫脹(Firm swelling)と熱感(Heat)が見られ、深部圧痛(Pain on deep palpation)が触知される事もあります。また、鎮静時および全身麻酔時には、麻酔後筋神経病(Postanesthetic myoneuropathy)の症状を呈する症例もあります。

多糖類貯蔵筋症の診断では、視診と触診に併行して、血液検査によってCTおよびAST濃度の上昇を確認することが重要ですが、重種馬における病態では、この変化は必ずしも顕著でないことが報告されています。多糖類貯蔵筋症の確定診断(Definitive diagnosis)は、筋生検(Muscle biopsy)によって下され、筋膜下空胞形成(Subsarcolemmal vacuoles)、アミラーゼ感応性グリコーゲンの増加(Increased amylase-sensitive glycogen)、アミラーゼ耐性の異常多糖類(Amylase-resistant abnormal polysaccharide)の出現、などの特徴的病理所見(Characteristic pathological finding)が確認されます。

多糖類貯蔵筋症の治療では、補液療法(Fluid therapy)に併行して、鎮静剤(Tranquilizer)、鎮痛剤(Analgesics)、非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)、DMSO等の投与が行われます。急性病状が減退後には、狭いパドックへの放牧、および5~10分の曳き馬運動(Hand-walking exercise)が実施され、48時間以上にわたる馬房休養(Stall rest)は禁忌(Contraindication)とされています。

多糖類貯蔵筋症による症状の再発予防のためには、食餌管理(Dietary management)と運動管理(Exercise regime)の両方が必要で、二週間にわたる引き馬運動、その後数週間にわたる10分以下の速歩運動を行い、徐々に運動強度を上げていく指針が提唱されています。食餌療法では、総摂取カロリーを適量に調節した後、その10%以下を澱粉成分が占め、13%以上を脂質から摂取するようにすることで、ブドウ糖取込を減少させ、脂質をエネルギー源とするような筋活動へと、緩やかに馴化させていく指針が推奨されています。また、放牧による青草摂食が多糖類貯蔵筋症を助長する可能性が示唆されている事から、牧草地への放牧を控え、可溶性糖分(Soluble sugar)の含有量が少ない乾草(Brome hay, Oat hay, etc)を給餌する療法も試みられています。

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