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馬の病気:骨端炎

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骨端炎(Physitis)について。

子馬において、骨端(Epiphysis)の圧迫性損傷(Compressive injury)に起因して、成長板(Growth plate)での軟骨内骨化過程(Endochondral ossification process)に異常をきたす疾患で、発育性整形外科的疾患(Developmental orthopedic disease: DOD)に分類されます。羅患部では、病理学的に言う炎症反応は起きていないため、骨端異形成(Physeal dysplasia)という病名がより適当であるという提唱も成されています。骨端炎の病因(Etiology)としては、エネルギー過剰摂取などの栄養性素因(Nutritional etiology)と、急激な体重増加(Rapid weight gain)や過剰な運動(Excessive exercise)による、外傷性の成長板損傷(いわゆるサルターハリスのタイプ5骨端骨折:Salter-Harris Type-5 physeal fracture)の両方が関与すると考えられています。

一般的に、馬の健常肢においては、骨端部に圧迫負荷(Compressive force)が作用すると、軟骨細胞の生存時間の延長(Increased chondrocyte survival)と一時的な骨化遅延(Retardation of provisional ossification)によって、骨端肥厚化(Physeal thickening)が起こり、肢軸の自動矯正現象(Autocorrection phenomenon of limb axis)をもたらす事が知られています。しかし、この圧迫が生理学的限界(Physiologic limit)を超えてしまうと、軟骨内骨化過程の完全抑止(Complete arrest)を引き起こし、非同調性の骨端成長(Asynchronous physeal growth)によって、成長板部の肥厚化から外反症または内反症(Valgus/Varus deformity)を続発する症例もあります。

骨端炎の症状としては、遠位管骨(Distal cannon bone)、遠位橈骨(Distal radius)、遠位頚骨(Distal tibia)などにおける骨端肥大化(Physeal enlargement)を呈し、遠位管骨の骨端炎は四肢に同時に起こる傾向にあることが知られています。また、肢の部位に応じて成長板の活動時期には差異があるため、遠位管骨の骨端炎が3~6ヶ月齢で好発するのに対して、橈骨や頚骨における骨端炎は、8ヶ月~2歳齢において多く発症することが報告されています。跛行の度合いは、軽度の強直歩様(Slight stiffed gait)を示す症例から、起立を拒絶(Reluctant to stand)する症例まで様々で、患部の圧痛(Pain on palpation)が見られる事もあります。また、重篤な跛行を示した場合には、肢軸異常(Angular limb deformity)や屈曲性肢変形症(Flexural limb deformity)の併発が認められる症例もあります。

骨端炎の確定診断(Definitive diagnosis)はレントゲン検査(Radiography)で下され、骨端部肥厚(Physeal widening)に起因して、成長板が唇の先のように広がる所見(Growth plate lipping)や、骨幹端が外側へめくれるように拡張する所見(Metaphyseal flaring)が確認され、病態の進行に伴って、骨幹端が非対称性を示す所見(Asymmetry of metaphysis)、骨端が楔型を呈する所見(Epiphyseal wedging)、骨幹端部における硬化症(Sclerosis of metaphysis)などが認められる場合もあります。また、立方骨不完全骨化(Incomplete ossification of cuboidal bone)や骨幹部湾曲(Diaphyseal deviation)など、外反症や内反症に併発する他のレントゲン所見が無いかを慎重に見極める事も重要です。

骨端炎の治療では、飼料内容の変更によって栄養性素因を取り除くことが大切で、穀物と蛋白質の給餌(Decreased grin and protein feeding)を減らすことで、エネルギー摂取量(Energy intake)を抑え、良質の乾草を多く与え(Increased good-quality hay feeding)、カルシウムとリンのバランス補正(Balance correction of calcium and phosphorus)と、銅と亜鉛の適量添加(Adequate supplementation of copper and zinc)を行う指針が推奨されます。また、DOD予防のために市販されている、子馬用の特殊配合飼料が用いられる場合もあります。患馬は放牧(Turn-out)を止め、母馬と共に馬房拘束(Stall confinement)することで運動量を制限し、跛行の重篤度(Severity)によっては、非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)の投与が行われる場合もあります。

骨端炎に併行して、重度の外反症または内反症を呈した症例では、外科的な肢軸矯正(Surgical correction of limb axis)を要し、凹側面(Concave aspect)の骨膜切断術(Periosteal trasnection)による骨成長加速(Bone growth acceleration)と、凸側面(Convex aspect)の経成長板架橋形成術(Trans-physeal bridging)による骨成長減速(Bone growth retardation)が施されます。また、外側蹄側削切(Lateral hoof trimming)、および、内側蹄側を伸長(Medial extension)させた蹄鉄の装着(=外反症の場合。内反症ではその逆)などによる、装蹄療法(Shoeing therapy)が併用される場合もあります。

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